トップ国内「国生み」の物語が生きる島 「海の民」が伝えた先端技術 兵庫県淡路島

「国生み」の物語が生きる島 「海の民」が伝えた先端技術 兵庫県淡路島

竪穴式建物跡と鉄加工の痕跡が発見された五斗長垣内遺跡=10月9日、兵庫県淡路市
竪穴式建物跡と鉄加工の痕跡が発見された五斗長垣内遺跡=10月9日、兵庫県淡路市

 日本最古の歴史書・古事記は古代日本人の宇宙観や世界観を表している。天地が形作られ国家が誕生する過程を、神々の姿になぞらえて描いた〝天地創造〟の物語でもある。古事記冒頭の「国生み神話」では、天津神から天沼矛(あめのぬぼこ)を授けられたイザナギノミコトとイザナミノミコト2柱が混沌(こんとん)とした大地をかき回し、その矛先から滴り落ちた塩の雫(しずく)が固まったのが「おのころ島」だと言われている。

「おのころ島」とされる絵島
「おのころ島」とされる絵島

 一説によると、その「おのころ島」だとされているのが、淡路島北東に位置する絵島だ。「平家物語」では、平清盛が月を愛(め)でた場所として登場。まだら模様の岩肌が美しく、古くからの景勝地なのだが、残念ながら現在は島に上陸することができない。それでも地質学的に珍しい2000万年以上前の砂岩層が露出しているなど、自然の作り出したアートを楽しめる名所だ。

 さて、淡路島は航路の難所とされる明石海峡、紀淡海峡に接し、瀬戸内海の東に位置する。イザナギとイザナミの2柱が最初に生んだ島とされるが、最初の島とされた背景には、大陸や朝鮮半島から先端技術や文物がもたらされ、古代国家形成期に重要な役割を果たした「海の民」の歴史があったと考えられている。

竪穴式建物内に再現された鍛冶場
竪穴式建物内に再現された鍛冶場
本州と淡路島をつなぐ明石海峡大橋
本州と淡路島をつなぐ明石海峡大橋
製塩の様子を再現したオブジェ
製塩の様子を再現したオブジェ

 彼らの痕跡は島内各地に残っており、その一つが五斗長垣内遺跡(ごっさかいといせき)(国史跡)。天気の良い日には、抜けるような青空と播磨灘が一望できる山の上にある。ここには縄文時代を思わせる23棟の竪穴建物跡があるのだが、なんと弥生時代後期の鉄器類も見つかっている。一部の建物内の地面には炉の跡があり、その周辺からは多数の鉄片が出土。畿内に先駆けて、最先端の鉄加工技術を持っていたことが判明した当時、世紀の大発見とされたそうだ。同じ敷地内にある資料館のスタッフは「海の民によって伝えられた、先端技術の定着を物語っている」と解説した。

 また、島内で効率的に塩作りを行っていたことをうかがわせる石敷炉が、貴船神社(きふねじんじゃ)遺跡で見つかっている。「海の民」たちによって大量生産された塩は、島内での消費にとどまらず、畿内の王権にも供給されていたと考えられている。製塩の様子はオブジェで再現され、家族とおぼしき男女が力を合わせて作業する姿を見ることができる。

(文と写真・宮沢玲衣)

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