トップ国内【NEWSクローズ・アップ】「海の地図」で海女さん支援 日本水路協会と日本財団 地震で海底隆起の能登半島・輪島

【NEWSクローズ・アップ】「海の地図」で海女さん支援 日本水路協会と日本財団 地震で海底隆起の能登半島・輪島

精密な地図で新漁場の開拓も

海女さんたちに「海の地図」の説明を行う石川竜子わじま海藻ラボ代表(右)と春日茂・日本水路協会参与

 昨年元日の能登半島地震で海底が隆起し、記録的集中豪雨で土砂が流れ込んだ石川県輪島市沿岸の水産業は大きな打撃を受けた。そんな中、財団法人・日本水路協会は日本財団の支援の下、海女さんの漁に役立ててもらおうと、能登半島沿岸の海底地形を調査し、海底の地図を作製し提供した。(特別編集委員・藤橋 進、写真も)

 地震による海底の隆起が最も激しかったのは輪島市で、5㍍前後に及び、利用不能となった漁港が相次いだ。さらに同年9月、輪島市や珠洲市を襲った記録的集中豪雨で大量の土砂が海に流れ込んだ。沿岸で海藻やサザエ、アワビなどを採る海女漁は大きな打撃を受けた。

 航海の安全や海洋環境の保全のために調査活動を行う日本水路協会は、日本財団の支援を受けて、2022年から10年計画で日本沿岸の約9割の海底地図を作成するプロジェクトを進めてきた。

 そんな中で能登半島地震が発生し、沿岸海底が大きく隆起した。能登半島の測量は22年の秋に終えていたが、日本水路協会は24年5月に再度、測量。それを基に作成した海底地図を今回、他の地域に先駆けて輪島の海女さんたちに提供した。

 先月、石川県漁業協同組合輪島支所で行われた「海の地図」利用説明会で、春日茂日本水路協会参与は、「海底の測量が終わったのはまだ全体の4割までで、海の地図の全国版の公開には至っていませんが、今回、復興支援の一環として提供させていただきました」とそのいきさつを語った。

 従来の海底地形の測量は、船から音波を使って行うため、船が近づけない浅い海域は難しかった。水路協会が行った測量は航空機を使ったレーザーによる測量で、沿岸の浅瀬の地形も詳しく測量することができる。日本財団海洋事業部の池田大誠さんは、「これから新しい漁場を見つけようという時も、この地図を参考に当たりをつけるなどして利用していただきたい」と語った。

 海の環境を調査し海女さんを支援している「わじま海藻ラボ」の石川竜子代表は、「この地図は色を使って水深も表示されていて、砂地や岩場が細かく分かるようになっているので助かります」と感謝。今回作成し提供されたのは輪島の南志見(なじみ)と輪島崎の2地区だが、今後他の地域にも提供していく予定という。

 「海の地図」はプリントした紙に防水加工を施したものとスマホ版の2種類作成。スマホ版はプロトタイプ版で今後改良を加えてゆく。担当したアジア航測株式会社の薄葉有矢さんは、「海女の皆さんに実際使っていただいて、もっとこういうふうにしてほしいとか、ご要望いただいて、システムに反映したいと考えている」と述べた。

 説明会に参加した海女さんの一人は、「私たちは船で漁場に行くが、海底の隆起で浅くなった分、船が座礁しないよう気を付けないといけない。安全面でも助かります」と述べる。

 磯漁師の江尻一希さんは、「隆起した瀬ができているので、潮の流れも変わっていると思うが、地図を見て潮の流れなども見当がつくようになると思う。隆起した瀬が新しい漁場になることも期待できる」と今後に期待をかける。

 7月に2年ぶりで再開した輪島の海女漁も9月いっぱいで終了。モズクの水揚げ量は例年とほぼ同じ約400㌧だったが、地震前の23年に約150㌧だったサザエが約18㌧、約1㌧だったアワビが約400㌔と激減した。悪天候で出漁回数が少なかったことや資源量の減少が影響したとみられる。

 今回提供された「海の地図」が活用できたのは1カ月ほどで、海藻のエゴ漁などは既に漁期を過ぎていた。来年からはさらに範囲を広め、フル活用して漁獲量アップを目指す。

 能登半島地震では港湾施設も被害を受けた。日本水路協会の春日参与によると、今回作成された「海の地図」は、防波堤を造る際に必要な予想される波の高さを計算するためにも貴重なデータとなることから、港湾土木の関係者からも資料の提供を求められているという。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »