
東京都新宿区の庁舎内で共産党議員が政党機関紙を勧誘している実態が、区のハラスメントに関する職員アンケートで明らかになった。勧誘を受けた管理職のほとんどが購読しており、その強制性が浮き彫りになった。(「しんぶん赤旗」勧誘問題取材班)
新宿区は今年8月、全職員を対象にアンケートを実施。そのうち、集計がまとまった課長級以上の管理職132人(回答者115人)の結果を10日付で公表した。パワーハラスメントを扱う七つのアンケートの一つ「政党機関紙の勧誘行為について」は、庁舎内で共産党機関紙「しんぶん赤旗」など政党機関紙の勧誘行為が横行しないよう、庁舎管理規則の徹底を求める陳情が提出されたことを受けて行われたもの。
調査結果によると、区議から政党機関紙の購読の勧誘を受けた経験がある職員は85・2%に上った。そのうち、勧誘を受けたときの役職は課長級が84・7%で最も多かった。「課長昇給月の前日」「課長補佐時に、翌年度の昇進内示の発表直後」に勧誘を受けており、管理職になるタイミングが狙われていることが分かった。
勧誘を受けた管理職のうち64・3%が心理的圧力を感じている。アンケートの自由記述欄には、「管理職は購読するものなのだと思っていた。義務的に感じていた」「強制的に送られてくるものもあり、そもそも勧誘すらないのはおかしい」という書き込みがあった。
渡辺美智隆区議は自身のXで、「係長級の職員が課長昇進の内示を受けた時に、議会の論客・うるさ型である共産区議が『これからよろしくね』と挨拶に来て、『赤旗買ってくれない?』と勧誘する」と証言。これは古典的な暴力団による「みかじめ料の徴収とそっくり」「誰が見てもパワハラです」と訴えた。
勧誘を受けた人のうち実際に「購読した」が34・7%、「やむを得ず購読した」が50%を占めた。併せて84・7%だ。「購読を断ったが、重ねて勧誘を受けた」は5・1%だった。一方「購読を断った」は4・1%しかなかった。自由記載では、「頼んでもないのに、届けられ、ある日請求に来た」「先輩管理職から、過去断ることができた人は1名のみと教わり、購読した方が無難というアドバイスをもらった」など、本人の自覚や意思に反して購読させられている実態が明らかになった。
新宿区の庁舎管理規則は、寄附金の募集、物品の販売、保険の勧誘その他これらに類する行為を禁じており、許可を受ける場合は庁舎管理者に提出する義務があるが、「しんぶん赤旗」は許可されていない。
港区は昨年3月、同様の調査を行った。その際、管理職の約9割が購読の勧誘を受けたことがあり、8割が購読を巡り心理的圧力を受けたことが明らかになっている。
浜田聡前参院議員は自身のXに「赤旗強制勧誘問題は全国の問題です。以前から苦しんでいた自治体職員の方々は多いと思います」と指摘。不当な圧力から解放される自治体職員が増えていくことを期待します」と期待を込めた。





