トップ国内選挙敗北、公明に負担 国益にかなう連携模索を

選挙敗北、公明に負担 国益にかなう連携模索を

公明党の中央幹事会で発言する斉藤鉄夫代表=2日午前、東京都新宿区

 公明党が自民党との連立に終止符を打った。自民党総裁選の結果を受けて、公明党側は①靖国神社参拝②外国人との共生③政治資金問題―で新総裁の高市早苗氏に注文を付け、最後は高市氏と斉藤鉄夫代表との党首会談で、企業団体献金を規制する政治資金規正法改正公明党案への賛否を巡り物別れとなった。

 だが、高市氏は総裁に就任して1週間も経ていない。自民新執行部を相手に無理筋な要求をしたことになり、むしろ連立離脱のための大義名分をにわかに作ったと見て取れる。むしろ、公明にとって「存亡の危機」とした選挙総括に示した深刻な事情が、離脱の大きな原因だろう。

 昨年の衆院選惨敗、6月の東京都議選の敗退、7月の参院選の惨敗と、自民と共に致命的な3連敗を喫して、政権与党であることの党益より、自民と連立を組む不利益が大きいと判断したことは、党首会談後に斉藤氏の発言にも表れていた。

 自民候補者のために自民党員ではない公明党員が選挙現場で「政治とカネ」の批判を受けながら汗を流してきた苦労を吐露した。地方議員が「限界」に来ているとの指摘もあった。その割には、連立与党の少数派として公明の主張が通らない悔しさを何度も味わってきた、との連立26年の中の恨み節も漏らした。

 だが、ネット時代の選挙戦では網羅的に政策を掲げる〝老舗政党”の自民、立憲民主、公明、共産は振るわなくなり、党の主張をはっきりと打ち出す新興政党の躍進が目立つようになった。

 自民は立党精神の憲法改正など保守的な価値観に回帰する流れが高市氏選出の総裁選結果に示されており、公明は憲法9条尊重・平和主義・福祉重視が結党精神で支持母体が創価学会という特殊な政党だ。党の理念・政策の違いを超えた連立が政権を安定させ、国益にかなった側面は大きなものがあるが、一方で重荷でもあり、選挙連敗で負の部分が増えて、「白紙化」という公明なりの原点回帰を選択したと言える。

 政界は過半数党のない多党化の時代に入るが、単純な数合わせは過去の細川護熙連立政権、村山富市連立政権が短期間のうちに行き詰まった教訓もある。依然、比較第1党の自民の使命は重く、各党との連携、閣外協力を模索し、国益にかなう政権樹立を求めたい。(窪田伸雄)

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