
南モンゴル(中国内モンゴル自治区)の独立運動史と展望を議論する国際フォーラムが9日、東京・永田町の衆院第1議員会館で行われた。講演した南モンゴル出身の楊海英静岡大学教授は現在、南モンゴル出身の留学生たちが大使館などを通じて中国当局から弾圧される「越境弾圧」が日本で横行していると指摘。そのせいで「留学生たちが萎縮して物を言えなくなっている。これは立派な内政干渉だ」と批判した。
『ロシアとは何か』『世界史のなかの蒙古襲来』などの著書がある歴史学者の宮脇淳子氏は、20世紀初めのモンゴルが日本とロシア、清朝の3大国に翻弄(ほんろう)され、南北分断に至った歴史を紹介。「日本が非常に大きな影響を及ぼしたことを日本人は自覚しなければならない」と強調し、「こうした歴史について日本にいるモンゴル人だけに発言させてはいけない。日本人自身が向き合うべきだ」と呼び掛けた。
政治亡命先のドイツから来日中のショブチョード・テムチルト南モンゴルクリルタイ会長は「日本など民主主義国家の支援を受けながら、南モンゴルの独立を達成したい」と述べた上で、世界で唯一、国会に「南モンゴルを支援する議員連盟」を持つ日本への謝意を表した。また「中国から世界に輸出されているレアアースは内モンゴルから採掘したもの。草原を破壊し、われわれの土地に眠っていた貴重な資源を中国が勝手に取っていることを知ってほしい」と訴えた。
南モンゴルを支援する議員連盟会長を務める高市早苗自民党総裁もメッセージを寄せ、「今もなお、南モンゴルにおいて、中国共産党による弾圧が続いていることに憤りを禁じ得ない」と述べ、「自由、法の支配、基本的人権など普遍的な価値を共に守るために連帯を強めていきたい」と激励した。





