トップ国内【連載】連立拡大にらむ自民新総裁(上)きょう選出 少数の悲哀、政権短命に 頻繁に起こる連立組み替え

【連載】連立拡大にらむ自民新総裁(上)きょう選出 少数の悲哀、政権短命に 頻繁に起こる連立組み替え

衆院総選挙後、石破茂首相が再び選出された首相指名選挙の決選投票が行われた衆院本会議=2024年11月、国会内

 石破茂首相の退陣表明に伴う自民党総裁選がきょう投開票を迎える。5人の候補者から選ばれる新総裁は15日にも召集される臨時国会での首相指名選挙に向けて、少数与党の状況を脱するため野党各党を相手に連立政権の枠組みを拡大する交渉に入る。政権が安定するか短命になるか、正念場はこれからだ。(総裁選取材班)

 総裁選に出馬したのは届け出順に、小林鷹之元経済安全保障担当相(50)、茂木敏充前幹事長(69)、林芳正官房長官(64)、高市早苗前経済安保相(64)、小泉進次郎農林水産相(44)。国会議員票295票、同数の党員・党友票の計590票を争い、1回目の投票で過半数の票を得た候補者がいなければ、上位2人の決選となり国会議員票295票と都道府県連票47票の計342票で争われる。

 12日間の選挙期間の終盤情勢を各種世論調査を基に分析すると、党員・党友票は高市氏がトップ。小泉氏と林氏がこれに続く。茂木氏と小林氏は伸び悩んでいる。小泉氏は、陣営幹部が対立候補への悪口などをSNSで大量にポストする指示をしたとされる疑惑が週刊誌で報じられやや勢いを失ったが、態勢を変えるには至らないだろう。

 一方、国会議員票では小泉氏が100議席をうかがう勢い。林氏と高市氏が追っている。党員・党友票を合わせると、小泉氏がリード、高市氏が続き、林氏が猛追している。決選投票となる公算が大きい。

 昨年の総裁選後、石破首相の下で自民は衆院選、参院選で大敗し、368だった国会議員票は295に激減。昨年より47の都道府県票の占める割合は大きくなった。とはいえ、昨年の総裁選で高市氏に投票した旧安倍派の国会議員の多くが落選したため、「決選投票でも小泉氏有利の情勢は変わらない」(自民衆院議員)。

 新総裁が着手しなければならないのが、新たな連立に向けた協議だ。昨年の総裁選で選出された石破氏は、与党の圧倒的多数を背景に難なく国会で首相指名された。しかし、わずか8日後の10月9日に衆院解散・総選挙に打って出て、圧倒的多数を棒に振る大惨敗を喫し、自民は公明党と共に少数与党となった。選挙後、野党は衆院で多数となったものの、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党、れいわ新選組、参政党など各党が首班指名でまとまらず、衆院では決選投票によって石破氏が再選された。

 それでも、野党に内閣不信任決議を可決できる生殺与奪を握られ、石破内閣は続投しても政局に主導権を発揮することなく、うだつの上がらないまま参院選惨敗に至った。今回の総裁選では各候補とも時期の差こそあれ連立拡大に意欲を示している。

 これまで、どの党がどの党と連立を組むかは、政策本位よりもむしろ党派的感情に支配された動きが多分にある。自民が、初めて連立を組んだのは中曽根康弘内閣時代の1983年。相手は自民離党組の新自由クラブで、政策は近かった。しかし、93年に自民が下野して以降、党派的対立感情が連立組み替えの起爆剤となる傾向があらわになった。

 典型が当時の社会党で、日本新党の細川護熙代表を首班に担ぐ8党会派の連立政権に参加しながら、翌年、離脱した。細川政権の連立与党のうち新生党、公明党、民社党などが大会派を形成する動きに憤慨し、日米安保条約、自衛隊、原発などの基本政策で長年対立してきた自民と村山富市社会党委員長を首相にする条件で連立政権を発足させた。

 しかし、この連立も組み変わる。98年参院選で過半数割れした自民は、当時の野中広務幹事長の「悪魔にもひれ伏す」との決断の下に小沢一郎氏(現・立民衆院議員)率いる自由党と連立、99年に公明と連立した。2003年からは自公連立となり、民主党の政権交代を経て、12年末に政権復帰を果たし今日に至っている。

 だが、多党時代を迎え、衆参とも自公は少数となり曲がり角を迎えている。政界に党利党略は付き物であり、自民新総裁が目指す連立拡大の行方によっては、90年代のように政党間の駆け引きが活発化しそうだ。

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