トップ国内【連載】2025総裁選 どう変わる自民党 (下)命運握る維・国との連携

【連載】2025総裁選 どう変わる自民党 (下)命運握る維・国との連携

自民党総裁選5候補の街頭演説を聴く聴衆=24日午後、東京・秋葉原(豊田剛撮影)

 自公与党は衆参両院で過半数を失い、法案成立には野党の協力が不可欠となった。国会は政策決定の在り方を大きく変えつつある。

 秋の臨時国会、来年の通常国会で焦点となるのは、政策ごとの「協議」にとどめるのか、新たな「連立」構築へ踏み込むのかという野党連携の在り方だ。特に経済・社会保障政策を巡る戦略が、新政権の命運と政局を左右することになる。政策ごとの協議か、連立の枠組み拡大かは、候補者によって違いがある。

 最初に出馬表明した茂木敏充前幹事長は、「日本維新の会や国民民主党との協議」を呼び掛け、連立拡大への基調を政界にもたらす働きをした。衆院では自公に維新を加えれば255議席、国民民主を加えた場合も247議席で過半数の233議席を上回る。参院も自公121議席で、過半数まで4議席足りない。維新を加えれば140議席、国民を加えれば146議席となり、連立による安定多数が現実味を帯びる。

 小泉進次郎農林水産相は20日の会見で、「与野党の対話と合意形成」を重視すると強調した。物価高対策としてガソリン減税や「年収の壁」見直しを掲げ、幅広い協議に前向きな姿勢を示した。維新は社会保険料引き下げを公約の柱にしており、自民に政策協調の余地がある。若さと発信力を武器に、野党との協調を政権浮揚の突破口にしたい思惑が透ける。

 昨年の総裁選では党員票で小泉氏を圧倒した高市早苗前経済安全保障担当相も、ガソリン減税や年収の壁解消を訴えた。高市氏は自公連立を基本としつつも政策合致による枠組み拡大に積極姿勢を示し、特に国民民主が掲げる税制改革との親和性を強調した。生活者目線での負担軽減を前面に出し、保守色に改革姿勢を織り交ぜることで支持拡大を狙う。

 野党側の最大勢力、立憲民主党は11日、森山裕自民幹事長と関係の近い安住淳衆院議員を幹事長に起用した。19日には自公との3党で中低所得層を支援する「給付付き税額控除」に関する協議体を立ち上げ、制度設計で合意するなど、自民に秋波を送る。小泉氏に加え、3回目の出馬となった林芳正官房長官へのエールともなっているだろう。

 小林鷹之元経済安全保障担当相はテレビ番組で憲法改正や安全保障など「自民の核となる部分をある程度共有してもらえないと連立は難しい」と述べるなど、連立に慎重な姿勢を示している。

 連立拡大は新政権の基盤を左右する。少数与党のままでは、総裁が首班指名で勝てる保証はない。だが、維新や国民との政策協調を前提に交渉できれば、立憲が呼び掛ける野党共闘を封じ、「総裁=首相」の道筋を確保できる。与野党協議の行方は、政権の安定と党再生の成否を占う試金石となる。

 石破政権下では、維新の吉村洋文代表や国民の玉木雄一郎代表はともに連立を拒絶していた。政策遂行能力に欠け、政党間の約束を反故(ほご)にする不信が理由だ。新総裁が率いる自民なら選択肢となり得ると態度軟化の兆しを見せている。

 しかし実際、総裁選で優先されるのは党内票の取りまとめだ。林氏は18日の記者会見で岸田・石破政権の「流れを受け継ぐ」と強調した。旧岸田派をはじめ無派閥・中道派の石破支持層取り込みを狙う。小泉氏も石破政権の路線継承を口にし、石破氏の支持基盤取り込みに余念がない。

 投票権を持つ党員・議員は、石破体制が2度の選挙で自公を過半数割れに追い込み、党の歴史に傷を残した事実を忘れてはいないはずだ。継承発言は「#変われ自民党」という総裁選キャッチフレーズとも矛盾しかねない。(総裁選取材班)

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