トップ国内JICAホームタウン事業が炎上 「最後のフロンティア」アフリカ【ワールドスコープ】

JICAホームタウン事業が炎上 「最後のフロンティア」アフリカ【ワールドスコープ】

アフリカ開発会議(TICAD)の開幕を前に、写真に納まる各国首脳=20日午後、横浜市西区(代表撮影)
アフリカ開発会議(TICAD)の開幕を前に、写真に納まる各国首脳=20日午後、横浜市西区(代表撮影)

 日本の地方自治体にアフリカ系移民が押し寄せる――。外務省が所管する独立行政法人、国際協力機構(JICA)の「ホームタウン」事業を巡り、誤情報の拡散などで批判が噴出、政府や各自治体が火消しに追われている。地元住民の声を無視した政策との指摘もあり、移民増加で治安が悪化することへの懸念から、国民の間には不安が広がっている。(長野康彦)

 先月21日に開かれたアフリカ開発会議(TICAD)に合わせてJICAは、千葉県木更津市をナイジェリア、愛媛県今治市をモザンビーク、新潟県三条市をガーナ、山形県長井市をタンザニアのホームタウンにそれぞれ認定した。ナイジェリア政府が「移住や就労を望む若者向けの特別ビザ(査証)を日本政府が発給する」と発表したことやホームタウンという呼称のイメージから、「移民推進ではないか」「市がアフリカの一部になる」などとSNSで炎上。4市には抗議のメールや電話が殺到した。

 政府や外務省は「インターン生の受け入れを想定しており、期限付き研修の終了後は研修生の出身国への帰国を前提としている。移民の受け入れ促進ではない」と説明、「これまでに各自治体が築いてきたアフリカ諸国との関係をさらに強化することで、アフリカの課題解決と日本の地方活性化に貢献することを目的」(JICAホームページ)としており、あくまで移民推進ではないとしている。

 「移民政策は取らない」との立場を政府が繰り返す一方で、実際には「技能実習生」という名の海外移民が2019年4月の制度開始以来大量に流入し、在留外国人の数は年々増加している。問題は実習終了後も母国に帰らず日本に滞在したり、就労先から逃げ出して行方不明になったりする人がいることだ。出入国在留管理庁の統計によると、23年の失踪者は9753人で過去最高を記録。24年は減少したものの、それでも6510人となっている。昨年末の在留外国人数は約377万人と過去最多で、人口の約3%を占める。

 技能実習生の出身国はベトナムやミャンマー、インドネシアなど主に東南アジアの国が多いが、これらの国は経済成長が著しく、賃金の上昇で日本に来て働くメリットは職種にもよるが少なくなってきている。代わりに「最後のフロンティア」であるアフリカが注目され、「今後減少していくであろうアジア圏の労働者の代わりに、新しく『安くこき使える外国人労働者』として、アフリカの人々をどしどし迎え入れていこう、というのが日本政府の本当の『狙い』」(9月20日ダイヤモンド・オンライン)とノンフィクションライターの窪田順生氏は分析する。

 同氏はまた、JICAの言うように国際交流の促進なら、「フレンドシップ」や「パートナーシティ」、あるいはインターンの受け入れなら「ホストタウン」などの呼び名が妥当で、「故郷」や「生まれ育った街」を意味するホームタウンは明らかに異常と指摘。「日本の政治家や役人が本音を隠して、『移民推進』の旗振りをするときに使うキラーワードこそが『ホームタウン』」との見方を示している。

 27年からは現在の技能実習制度に代わる新たな「育成就労制度」が始まる。これは、「我が国の人手不足分野における人材の育成・確保を目的とする育成就労制度」(厚生労働省)で、永住や家族帯同が可能になる「特定技能2号」の対象分野が、2分野から外食業などを含む11分野に大幅拡大される。実質的には移民政策に近いと言われている。

 現在の技能実習生約45万人を上回る数の外国人を受け入れることになる見込みで、家族帯同となれば、在留外国人の数は急増することになる。日本政府は19年にパキスタンとの間で技能実習の送り出し国として覚書を交わしており、今後はイスラム圏やアフリカ諸国に受け入れ対象国が広がるとも指摘されている。

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