
優れた品質の防災グッズを表彰する「防災グッズ大賞」(主催・災害防止研究所)の表彰式が3日、東京・有明の東京ビッグサイトで開かれた。今年で7回目となる開催で、防災商品の普及を通じ、災害時の自助意識啓発につなげることが狙いだ。
今回の受賞商品は27点で、表彰部門は「食品」「アウトドア・生活用品」「防災用品」「衛生用品」「その他」の五つに分かれている。そのうち半数近くの12点が「衛生用品」で、トイレ事情に対応した商品も多い。
「日常生活でも役に立つ商品が主流になってきた」
表彰式であいさつした災害防止研究所の吉田明生代表理事はこう指摘した。
「日常」と「非日常」で分けず、どちらの状況でも利用できるコンセプトのことを「フェーズフリー」と呼ぶ。いつ来るか分からない災害への対策は後回しになりがちだが、日常で使い慣れたグッズが非常時にも役立つため、〝備えない防災〟として期待されている。

衛生用品部門で優秀賞を受賞したファンスタンダード社の非常用トイレセット「ステップスツールトイレ」は、普段は踏み台として使用し、非常時には防災トイレとして活用できる。折り畳めば、非常袋に入れて持ち運びできるサイズに設計されている。
同じく優秀賞で、発泡スチロール製造メーカー南郷包装の「ハッ!トイレ君」は、見た目はごく普通の発泡スチロール製の箱だが、日常は備蓄用品などの収納ボックスとして活用し、非常時には袋をセットしてトイレ代わりにできる。担当者は「シンプルであるがゆえに誰でも扱いやすい。電気のない夜でも手探りで簡単に使える」とアピールした。
共通するのは防臭効果のあるエチケット袋と凝固剤のセット。袋の中に用を足した後、凝固剤で固めて処理をする。袋は便器に取り付けるなどすれば、水の出ない中でも家庭や職場のトイレを有効活用することができ、在宅避難者や帰宅困難者にも役立つ。トイレ環境すらない車中泊の場合だと、より重宝されるだろう。使い捨て手袋やウエットティッシュが付属した商品もあり、被災者目線で衛生面を考慮した点などが評価につながっている。
防災用具などの製造・販売を行う谷沢製作所は、「備蓄スペース不足」という現代社会の抱える課題にスポットを当てた。A4ファイルサイズの箱の中に凝固剤や防臭袋はもちろん、排泄(はいせつ)後の注意点をまとめた専門家監修の感染対策ガイドなどのアイテム(大人4人で最大3日分)が収められた防災グッズを開発。棚に収納できるほどのサイズのため備蓄スペースを圧迫しづらく、公共施設や職場などに常備する選択肢として提案している。こちらの商品も優秀賞を受賞した。
緊急時は外で用を足せる男性と異なり、女性の場合はトイレ事情がもっと深刻だ。トイレに行く頻度を減らそうと水分摂取を控え続け、その結果、脱水症状やエコノミー症候群、誤嚥(ごえん)性肺炎などを起こす被災地の女性は多いという。その問題に注目した合同会社BOUKENは、女性用のトイレグッズを商品化。手に持って用を足せるカップ型のトイレ容器「Chiicup(ちぃかっぷ)」は、折り畳めば厚さ1㍉となるため、カバンにもしまえる。座らなくてもトイレ事情を解決できるという点が評価され、アイデア賞を受賞した。
生き物である限り、排泄という問題からは逃れられない。災害時は多くのストレスに悩まされるため、トイレ事情だけでもストレスフリーでいられれば、心理面での支えになるだろう。
(石井孝秀)







