トップ国内受け継がれる祈りと灯 終戦から80年を超えて

受け継がれる祈りと灯 終戦から80年を超えて

平和への願いなどを記した灯籠=6日、広島市中区(森啓造撮影)
平和への願いなどを記した灯籠=6日、広島市中区(森啓造撮影)

300万人超の命が失われた戦争の終結から今年で80年。各地で開かれた慰霊の行事には大勢の人々が参加し、犠牲になった魂を偲(しの)びながら平和への感謝を捧(ささ)げた。

原爆投下から80年の節目となった広島では6日前後、多くの人が広島市の平和記念公園を訪れて手を合わせた。平和記念式典で公園が一時封鎖されるため、夜明け前にも途切れることなく人々が参拝。花束を片手に家族の魂が安らかであることを願った。

熱さと痛みに耐えかね、水を求めて大勢の被爆者たちが亡くなった元安川では6日夕方、平和を願う灯籠流しが行われた。灯籠を流した後、携帯で写真撮影をする人の姿も目立った。

終戦の日に靖国神社を訪れる人々。大鳥居門前では多くの参拝者が英霊に一礼を捧げていた=15日午前、東京都千代田区(加藤玲和撮影)
終戦の日に靖国神社を訪れる人々。大鳥居門前では多くの参拝者が英霊に一礼を捧げていた=15日午前、東京都千代田区(加藤玲和撮影)
約3000個の灯篭が隅田川の川面を彩った=16日、東京都台東区(加藤玲和撮影)
約3000個の灯篭が隅田川の川面を彩った=16日、東京都台東区(加藤玲和撮影)
「隅田川とうろう流し」に参加する親子=16日、東京都台東区(加藤玲和撮影)
「隅田川とうろう流し」に参加する親子=16日、東京都台東区(加藤玲和撮影)
千鳥ヶ淵戦没者墓苑では静寂の中、参拝者が途切れなかった=15日、東京都千代田区(加藤玲和撮影)
千鳥ヶ淵戦没者墓苑では静寂の中、参拝者が途切れなかった=15日、東京都千代田区(加藤玲和撮影)
全国戦没者追悼式へ向かう参列者ら=15日午前、東京都千代田区(森啓造撮影)
全国戦没者追悼式へ向かう参列者ら=15日午前、東京都千代田区(森啓造撮影)
平和記念公園には大勢の人が訪れ、原爆慰霊碑の前で手を合わせた=5日、広島市(宮沢玲衣撮影)
平和記念公園には大勢の人が訪れ、原爆慰霊碑の前で手を合わせた=5日、広島市(宮沢玲衣撮影)
原爆ドーム前を流れる元安川で平和と犠牲者の鎮魂を祈り灯籠流しをする人=6日午後、広島市中区(森啓造撮影)
原爆ドーム前を流れる元安川で平和と犠牲者の鎮魂を祈り灯籠流しをする人=6日午後、広島市中区(森啓造撮影)

終戦の日の15日には日本武道館(東京都千代田区)で全国戦没者追悼式が挙行され、全国から遺族らが出席。炎天下にもかかわらず、英霊への慰霊のため靖国神社(同区)に参拝しようと、2時間待ちで行列をつくる人々の姿も見られた。鳥居をくぐる前に一礼する参拝客たちの目は真剣そのもの。身元不明の戦没者の遺骨が納められた千鳥ケ淵戦没者墓苑(同区)でも静寂の中、鎮魂の祈りを捧げる人々の波が途切れることはなかった。

翌16日には関東大震災や東京大空襲など、隅田川で亡くなった犠牲者を弔う夏の風物詩「隅田川とうろう流し」が墨田区と台東区の両区・両岸にて開催。親子連れの参加者も多く、約3000個の灯籠が隅田川の川面を彩った。

80年を過ぎて、記憶の風化を心配する声もささやかれるが、平和を求める祈りと灯(ともしび)はこれからも受け継がれていくことだろう。

(文・宮沢玲衣、石井孝秀)

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