

参院選で歴史的大敗をした石破茂首相の続投表明に世論は厳しい。22日付各紙社説は「首相続投は民意軽視だ」(東京)、「理解得られぬ首相続投」(毎日小見出し)、「居座りで混乱を長引かせるな」(読売)、「即時退陣を改めて求める」(産経)など首相の続投に反対する論調を掲げた。
さらに、23日には「石破首相、退陣へ/来月末までに表明」(毎日同日夕刊)など「退陣」報道が大手紙でなされた。しかし、同日午後、麻生太郎、菅義偉、岸田文雄の各首相経験者と自民党本部で会談した石破氏は、報道陣に「出処進退の話は一切出ていない」「(退陣報道について)そのような話をしたことは一度もない」と述べ、改めて退陣を否定した。
1年未満のうちに衆参の国政選挙で一挙に与党が過半数割れする大敗を繰り返しながら、首相に居座る石破氏は極めて異例な姿勢を取っている。
もともと参院選前に石破氏が掲げた獲得議席の目標は「非改選と合わせて自公で過半数」。つまり50議席で、改選前66議席から16議席減らしてもよしとする、誰の目から見ても低過ぎる目標だ。言い換えれば、党総裁の地位を守ろうとする保身の考えの強さが、見え透いていた。
選挙結果は自公で47議席。低過ぎる目標50を、3議席下回った。これで退陣表明が予測されたが、開票中の20日夜のテレビインタビュー、21日の記者会見で石破氏は、「比較第一党」(他のどの政党よりも議席数が多い)の責任を掲げ、続投を表明した。
だが、選挙結果が示した民意は、野党第1党の野田佳彦代表の言葉通り、石破政権に明確に「ノー」を突き付けている。厳しい選挙を戦った自民党地方組織の中からも退陣要求が次々と噴出している。
今後、さまざまな反対の声にもかかわらず、続投を表明した石破政権が実際、存続し得るのかが鍵になる。参院選の投開票日が選挙戦初日となった横浜市長選が現在、行われている。また、遠からず選挙を迎える自民所属の各県の首長ら、地方議員らは石破氏の続投を容認できるだろうか。
党内政局の思惑などを背景に、石破氏を自民総裁に担ぎ国会で首相指名した国会議員らも、自身の選挙にどう勝ち抜くかを考えた場合、衆院選、東京都議選、参院選で連続して大敗した石破政権の継続には相当な抵抗感がある。「党内の大多数が続投に反対している」(議員)との声は鳴りやまない。
選挙期間中、自民は政権を担う自負から、責任ある政党を主張してきた。まさに議会制民主主義に責任を持つ政権党として、今日の局面で新総裁を選ぶガバナンスが発揮できるかも有権者から点検されよう。
憲法前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と始まる。有権者は憲法に謳(うた)う行動原理に基づき、石破政権や自民に3度の選挙を通じて、不支持を明示した。有権者は民意を受けた態度を、政府の代表としての石破氏に期待している。
それができなければ「石破降ろし」が本格化しよう。自民の党則1章6条(総裁選の公選規定)4項には、「党所属の国会議員及び都道府県支部連合会代表各1名の総数の過半数の要求」に従って、いわゆる「リコール」ができる。
また、衆院少数与党であるため、内閣不信任決議案の提出も予想されるが、同決議案は国会会期中にしか提出できない。参院選を受けた臨時国会は8月1日に召集されるが、参院の正副議長の選出などをして短期間で終わる。これを越えると石破氏は秋の臨時国会までの延命が確保できる。
が、「石破降ろし」が実現しても、1955年の結党以来、初めて自民が中心となる与党が衆参ともに少数となっているところ、次期衆院選や3年後の参院選で、勢いづく参政党、国民民主党などを相手に挽回するのは容易ではない。
(参院選取材班)
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