トップ国内【連載】自公過半数割れ 2025参院選から探る(上)首相続投で進んだ自民離れ

【連載】自公過半数割れ 2025参院選から探る(上)首相続投で進んだ自民離れ

報道各社の取材を受ける石破茂首相=20日午後、東京・永田町の自民党本部

今回の参院選で自民党は改選52議席から39議席に落ち込んだ。連立を組む公明党も改選14議席から8議席に後退し、自公合わせて与党は47議席。石破茂首相が勝敗ラインとした「50議席」に達しなかった。与党は非改選75議席の“貯金”を食い潰(つぶ)して過半数に届かない122議席となり、参院でも少数になった。自民中心の政権が衆参とも少数になるのは1955年の自民党結党以来初めてのことだ。与野党の戦いを振り返るとともに、今後の政局を展望する。(参院選取材班)

勝敗を分ける32の1人区で、自民は前回の28議席から14議席に半減。従来、1人区は東北など東日本で野党が強く、西日本は自民が強いと言われたが、自民は四国の全選挙区、九州の鹿児島、宮崎、大分で落としたほか、保守王国の富山でも議席を失った。比例代表は前回の得票率34・4%から21・6%に落とし、約545万票減らしている。

20日夜、与党の惨敗が大勢となる中、早々と石破氏はテレビ各局の開票速報番組の質問に答える中で「比較第一党」を理由に首相辞任を否定。開票結果が確定し自公が参院でも過半数割れした21日、石破氏は党臨時役員会で続投の意思を伝え、公明の斉藤鉄夫委員長との会談で続投と連立維持を確認、自民党本部で記者会見を行った。

「極めて厳しい国民の審判をいただいた。痛恨の極みで党総裁としてお詫(わ)びする」と敗北を謝罪した石破氏は、米国の関税措置、物価高騰や自然災害への対処、厳しい安全保障環境など「国難」とする材料を並べ、「政治の停滞を招くことはできない」と続投を表明した。

会見質疑の中で石破氏は、続投の期限について「考えているわけではない」と否定し、党執行部についても「人事について考えを持っていない。党役員の任期を考え対応する」と述べ、そのまま続投することを明らかにした。勝敗ラインも守れず、衆参で少数与党になる結党以来の敗退という結果にもかかわらず総理総裁、幹事長はじめ誰も責任を取らないのだ。

これで明らかになったことは、自民党の変質である。既に昨年の衆院選でも自公与党で絶対安定多数から過半数を割る歴史的敗北を喫したが、石破氏と森山裕幹事長は続投し、選対委員長で総裁選で石破氏と争ったばかりの小泉進次郎氏だけが更迭された。今回はそれ以上の党指導部の無謬を押し通すつもりだ。このようなやり方は、共産党のような民主集中制をとり、党内独裁がまかり通る左翼の組織政党でみられたことだ。

支持率が低迷しても、国政選挙で敗退を繰り返しても、総理総裁、党執行部がそのままでいられることは、民意よりも党内支配力が強いということを示している。自民党はもともと派閥連合の要素が強く、「憲政の常道」として選挙敗北の責任は取るという党内コンセンサスが働いていたが、これがなくなった。

既にこの傾向は衆院選大敗後の石破氏続投で歴然としており、民意の反発は東京都議選に現れた。その後1カ月で、新興勢力の参政党、国民民主党を加速度的に勢いづかせたと言える。国政選挙6連勝を果たした安倍晋三元首相の勝因は、野党寄りだった若年層から支持を引き寄せたことだった。逆に今回の参院選では10代~50代の若年・現役世代の自民離れが目立ち、自民の支持基盤は70代前後の高齢者に偏った。

若年・現役世代の多くは投票の参考情報をSNSなどネットに求めており、高齢層は新聞、テレビなどを情報源とする傾向が強い。この際、ネットはクリックなどそれぞれの関心に基づいて能動的に情報を選ぶが、テレビや新聞は受動的に情報を与えられる。若年・現役世代の少なからぬ有権者がネットで能動的に自民以外の選択肢を探し、投票行動に出たと考えられる。

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