
世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)に対する文部科学省の解散命令請求を受けた東京高等裁判所の非公開審理を巡り、教団信者8人が10日、東京高裁に利害関係参加の申し出書を提出した。8人は11日、代理人とともに説明会見を開き、教団職員、社会人、学生などそれぞれの立場から、信仰の場を失うだけでなく、職や生活など深刻な影響を被り得る重大な結果が、非公開審理により「知らないで決められる」ことに異議を唱えた。(信教の自由取材班)
東京・内幸町の会場に登壇した8人は、両親や祖父母が教団信者の2世、3世信者たち。任意団体「信者の人権を守る二世の会」の小嶌希晶(こじま きあき)代表(29)は、東京地裁が解散命令を決定したことを機に「もっと積極的に(解散の裁判に)参加できる手立てを模索していた」と振り返る。その中で、裁判結果によって直接の影響を受ける関係者であれば、非訟事件の手続きに参加できる利害関係参加という手段があることを知った。
同会では利害関係参加の準備を進めつつ、裁判の公平性と透明性を求める署名運動も全国に呼び掛けた。その結果、3万5550人以上が署名に応じたという。小嶌代表は「(署名は)今も止まらず届いている。さすがに全員参加はできないので、ここにいる8人に絞って申し出を行った」と説明。文科省側の提出した解散命令を請求する証拠に捏造(ねつぞう)の疑惑があると報道されたことに触れた上で、「正当で公正な裁判をやってほしいと叫んでいる信者はたくさんいる。信教の自由を守り、正しく裁いてほしい」と強調した。
家庭連合の解散命令は3月に東京地裁で決定され、教団が即時抗告。審理は東京高裁へと移っている。同会代理人の徳永信一弁護士は「一審と違って抗告審の結果で解散決定が維持されれば、教会財産である教会施設、中で使われている祭祀(さいし)の道具、礼拝の道具など一切合切が管財人の手元に行く。そのことが信者にとって影響がないはずないだろう」と述べ、「信者なら誰でも利害関係がある」と訴えた。
申し出書に対する裁判所の決定がいつ出されるかは未定だが、却下されたとしても最高裁へ抗告することができる。同会はこの利害関係参加を通じて、資料の閲覧や教団とは別に証人を立てるなど、「密室状態」で進められる〝解散裁判〟の透明化へ近づけたい考えだ。
また、申し出書の作成を担当した佐々木海弁護士は、①信者の信教の自由が侵害される②教団職員であれば解雇で経済的損失を受ける③解散命令請求を受けた裁判所の審理は、憲法82条に基づき公開されるべき裁判である――などを主張したと述べた。
このほか、利害関係参加を申し出た信者からは、2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件を契機とするマスメディアの教団バッシングから起きた風評から受けたさまざまな被害や懸念が報告された。
教団職員の男性2世信者である今中誠真さん(29)は、教団解散に伴う解雇の不安から転職エージェント2社に申請したところ、1社からは一つも会社を紹介されなかった。もう1社からは紹介があったものの、紹介先の会社から「(教団に)勧誘されるなどのリスクを抱えることはできない」と断られた。今中さんは「こういった現状を生んでいるご時世や雰囲気には納得できなかった。本当に現在の仕事を解雇されれば、苦しい現実が待っている」と声を落とした。

女性2世信者の椎葉実希さん(29)は岸田文雄前首相(当時)が教団との断絶宣言をした時、生後4カ月だった長女の保育園入園の書類作成をしていたが、同居する義母が教団職員だったため、同居家族の職場の記入に躊躇(ちゅうちょ)した経験を吐露。入園拒否や職員からの反発につながらないか、不安に駆られた。「自分が信じてきたものが、間違っていると国から言われるようなものか、よく分からないままなのは納得できない。自分の目で(裁判の)内容を見たいと思い、この場に参加した」と思いを打ち明けた。
教団解散を巡るプロセスは、閣議決定や国会審議を経ずに一夜で行われた岸田首相による国会答弁変更、文化庁の宗教審議会、質問権行使、解散命令請求の裁判など公開の場でなされていない。何が行われているのか知りたい――という信者8人の利害関係参加の申し出は、ごく基本的な権利の主張に見える。





