
「与党が『2』を取るか、野党が『2』を取るか、大変厳しい選挙だ」
公示日の3日、自民候補の応援に駆け付けた元経済安全保障相の小林鷹之は、千葉市稲毛区のJR稲毛駅前で今回の選挙をこう評した。
千葉選挙区の定数は3議席。そのうち自民党が2議席獲得し、残りの1議席を立憲民主党が維持するという選挙結果が続いており、一時は「無風区」と呼ばれていた。
しかし、第2次安倍政権の6年前、2019年の参院選と政情は様変わり。自民の2議席維持に暗雲が立ち込める。自民の支持率低下を好機と見て、野党や諸派が次々と立候補。過去最多の16候補による乱戦が繰り広げられている。
自民候補の一人で、参院国対委員長も務める石井準一は前回、69万8000票を集めてトップ当選を果たした。地元議会には強固な結束力を誇る「石井派」を抱え、県知事の熊谷俊人にも強い影響力を持つ。自民の共倒れの可能性が指摘されるものの、選挙関係者は「4番手以下になることは絶対にない。(石井には)必ず票が集まる」と断言する。
前回、トップの石井と3万7000票差の僅差で2番手に甘んじたのは立民の長浜博行。しかし、石井より多くの票を獲得した地区もあり、安定した選挙戦を展開する。選挙戦初日に千葉市中央区のJR千葉駅前で「ガラス張りの政治!」と書かれた緑の旗を掲げて街頭演説に臨むと、コメ問題や地球温暖化に触れながらエネルギー政策転換を強調。さらに平和外交を訴えつつ「政権交代しかない」と叫んだ。
石井や長浜のリードに対して、3枠目を巡って熾烈な戦いが繰り広げられている。
もう一人の自民候補の豊田俊郎は、前回約43万6000票を獲得して当選。元八千代市長で全県的な知名度は石井に劣る上、「派手さはない」と指摘される。自公票が割れる上、国民民主党や参政党など保守系政党に票が流れることが予想される。
同区を「最重点選挙区の一つ」と重視する国民は、元NHK記者の小林さやかを擁立。5月に千葉市内で開かれた記者会見には、玉木雄一郎代表が駆け付けるほどの力の入れ具合だ。
選挙戦初日、小林は街頭で、3人の子育てと仕事との両立で感じた葛藤を告白。一部陣営からは、子育て世代の多い千葉県では「女性票が集まる可能性が高い」との声が聞こえる。SNS戦略にも積極的だ。街頭演説をライブ中継したり、一日の振り返りなどをこまめにアップしている。3番手に手が届きそうな勢いを見せている。
参政党の中谷めぐも党勢に乗り、当選圏内を見据える。3日午後には千葉駅前に立ち、「日本人ファースト」と「ママだってもっと政治」をテーマに掲げると、平日にもかかわらず立ち止まって耳を傾ける聴衆も一定数いた。
諸派のうち、日本の家庭を守る会の小笠原裕は、世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の信者であることを公言。教団の解散命令や強制棄教を目的とした拉致監禁は違憲と強調する。1万カ所以上のポスターもほぼ貼り終え、選対幹部は「泡沫ながら存在感を示すことができている」と自負した。(敬称略)
(参院選取材班)

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