
「宗教と報道 人権問題を考える」と題する公開シンポジウムが14日、世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の富山家庭教会(富山市)で開かれた。著述家の加藤文宏氏、信者で全国拉致監禁・強制改宗被害者の会の後藤徹代表、教団関連団体の富山県平和大使協議会代表理事でフリージャーナリストの鴨野守氏が講演し、報道がゆがめられたことが家庭連合の解散命令につながったとの見方で一致した。
加藤氏は、2022年の安倍晋三元首相の銃撃事件以後、教団と政界との関係をマスコミが突然報道したことで、「教団に対する虚像が生み出された」と分析。その上で、「いまや家庭連合信者に対する人権というものはない。政治家・司法・マスコミは襟を正さないと、何十年にわたって問題として残る」と警鐘を鳴らした。
鴨野氏は、岸田政権が関係断絶宣言をしたのはメディアの暴走が原因と指摘。取材に来ていた報道陣に向かって「宗教、信仰に対して偏見を持つことなく報道してほしい」と呼び掛けた。
12年5カ月にわたって拉致監禁被害を受けた後藤氏は、東京地裁の解散命令決定文に拉致監禁が一切考量されていなことに触れ、このままでは「国が統一教会信者だったら閉じ込めてもいいという風潮がはびこってしまう」と危惧。「これはいち教団だけの問題ではない」と警鐘を鳴らした。シンポジウムは富山県平和大使協議会が主催し、約150人が参加した。全国でも教会施設内で公開シンポジウムを開くのは珍しく、主催者は「メディアの人たちにも教会のありのままの姿を見てほしかった」と話した。