トップ国内反カルト勢力の情報操作で信者排除 地域貢献のボランティア参加も

反カルト勢力の情報操作で信者排除 地域貢献のボランティア参加も

東京・足立区のイベントが中止に

灯籠を回収する青年ボランティア=2010年8月7日、東京都足立区(小林宗一郎氏提供)

東京都足立区の荒川河川敷で2003年から始まった家族の絆や生命の尊さ、平和を願うイベント「灯籠流しと音楽会」は、10回目となる12年を最後に中止に追い込まれた。世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の信者がボランティアスタッフとして関わっていたことを理由に、教団に反対する勢力がネットで炎上させたことが理由だ。(信教の自由取材班)

イベント実行委員で家庭連合信者の小林宗一郎さんは、足立区のまちづくり団体の理事としても活動していた。自身が所属する教会の青年と一緒に荒川の清掃活動に取り組んでいたところ、「灯籠の回収を手伝ってもらえないか」と誘われ、07年からイベントに参加するようになった。

「地域の行事に貢献することは日ごろの恩返しにつながる。青年信者たちにとっては、より地域に愛着を持つきっかけになる」。こう話す小林さんは、行事は教団のためではなく、地域の一員として関わっていたと強調。「多くの青年が『地域のために貢献したい』という純粋な思いで手伝ってくれていた」と話す。

同団体の理事長でイベント実行委員長だった男性は「よくがんばってくれる。ほんとにありがたいんですよ」(11年11月25日付、朝日新聞)と、小林さんの地域貢献を評価していた。

11年、ボランティアとして携わっていた小林さんら家庭連合の信者を排除するかどうかが突如として議題に上がった。サイト「やや日刊カルト新聞」主筆の鈴木エイト氏による「統一協会に乗っ取られた?『荒川灯籠流し』」と題するネット記事が同年8月10日付で掲載されたことがきっかけだ。

記事では次のように書かれている。

「会場で会った青年信者たちは(中略)巧みな心理操作を施され思考の枠組みを変格させられてカルト信者になった勧誘被害者」

その信者らが行事に関わることで、「灯籠流しをきっかけにして新たな形でカルト被害者が発生しないか憂慮される」。

実行委員会では記事について議論になったが、「継続する」結論を出した。ところが、翌年の「灯籠流しと音楽会」に小林さんらの姿はなかった。鈴木氏の記事を受け、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の7人の弁護士の名前が連名で出した文書が最終的に小林さんらを排除する決定打となったとみられる。

小林さんはこの文書の存在を知り、「これではまるで弁護士という地位を利用した『脅し』だ。鈴木氏のブログだけではわれわれを排除できなかったので、裏で連携し、つぶしに掛かったのは明らかだった」と憤りをあらわにした。

文書では、イベントに参加したアーティストと家庭連合が密接な関係にあると決め付け、アーティスト所属事務所に対し「今後も関係が推察される活動を行った場合には、観光大使を担っている自治体に対しても申し入れを行う」とした。

結局、12年のイベントでは小林さんを実行委員から外した。来場者100人程度、流した灯籠は20基前後と規模を縮小して開催。それを最後にイベントは行われていない。

信仰が理由でイベントから排除されたことについて、小林さんは「地域のためを考えると、われわれは手を引き、地元の学生に手伝ってもらうのが理想だった。だから当時、学校に声を掛け会場のスタッフとして手伝ってもらっていた」と、イベントが定着する目前だったことを強調。「地域の関係が希薄化し、町会や商店会に所属しない人や店舗が増えていることが課題となっている昨今、世代間の交流や地域とのつながりを持てる大切なイベントだったのに」と悔しさをにじませた。

東京地裁が解散命令を出したことで、全国で同様の事例が発生する可能性は高くなっている。小林さんは「家庭連合の信者だからという理由で地域貢献に関われないのでしょうか」と訴えた。

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