笹川スポーツ財団が調査
「日本の子どもたちの運動習慣は、親の関わり方や家庭内の触れ合いによって大きく左右されている」。こうした実態が、笹川スポーツ財団(東京都港区)が3~6歳の幼児3000人を対象に行った全国調査により明らかになった。近所にある公園の数や緑地の広さなどの地域環境よりも、家庭での交流や親の日ごろの運動習慣が、幼児の運動時間に深く関係していることが分かった。
調査は、同財団が2024年7月から25年3月にかけて実施。対象は全国の幼児(3~6歳)で、有効回答者のうち、住所情報や運動実施状況に不備がない2747人について分析した。周囲の環境と幼児の運動の関連性を大規模データで実証的に検証した国内初の研究として注目される。
園外での幼児の運動時間に「最も強く関係していた」のは、「親子で体を動かす頻度」だった。「ほとんど毎日」親子で運動する家庭の子どもは、まったく運動しない家庭の子に比べて、週に452分(約7・5時間)も多く体を動かしていた。
また、親自身が週1回以上運動している家庭では、そうでない家庭に比べ、子どもの運動時間が週72分長い傾向にあった。親の行動や価値観が、子どもにも影響していると考えられる。
さらに、「ママ友」「パパ友」など親同士のつながりの有無も、運動時間に差を生んだ。親に5人以上の友人がいる家庭の子どもは、いない家庭の子どもより、週45分多く運動していたという。
一方、地域の公園の広さやスポーツ施設の数、治安などと幼児の運動時間との間には、明確な関係は見られなかった。「公園が多ければ子どもは運動する」といった通説に疑問を投げかける結果だ。
財団の担当者は「幼児期は一人で出かけられないため、親や家庭の関わりが何よりも大きい。地域の施設を整えることに加えて、家庭内の触れ合いや地域のつながりを支える取り組みが、これからのまちづくりに必要になる」と話す。