トップ国内背教者が作り上げた裁判判決 家庭連合解散請求に広がる ディプログラミングの闇(4)

背教者が作り上げた裁判判決 家庭連合解散請求に広がる ディプログラミングの闇(4)

解散根拠32件ほぼ全国弁連

家庭連合信者の山辺広輔さん-仮名-の裁判が行われた札幌高裁・札幌地裁=北海道札幌市-石井孝秀撮影-
家庭連合信者の山辺広輔さん-仮名-の裁判が行われた札幌高裁・札幌地裁=北海道札幌市-石井孝秀撮影-

「現役の信者がきちんと訴えれば、その主張は認められると示すことができた。不当な裁判の抑止力に少しでもつながってほしい」

北海道札幌市に住む世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の信者、山辺広輔さん(60代男性、仮名)はそのように話した。

山辺さんの2人の姉と弟は2019年9月、山辺さんが父親(故人)の遺産を勝手に献金したとして、損害賠償を求めて札幌地裁に提訴。この時、原告の代理人になったのが全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の郷路征記弁護士だった。

郷路弁護士は「信念を統一協会によって植え付けられているわけだから、違法性の意識の可能性がなかった」として、山辺さんの献金に自由意思はなかったと捉える主張を展開。さらに教団こそが加害者であると主張し、山辺さんだけでなく家庭連合も被告とした。

山辺さんはその主張に対して、献金は〝洗脳〟ではなく自発的な行為だったと強調し、本人尋問でも同様の供述を行った。結果として、郷路弁護士の主張に「認めるに足りる証拠はない」と判断され、教団への請求は棄却された。

山辺さん自身は姉たちと400万円で和解したが、取り決めの際に原告側から「教団を辞めること」を和解条件に付けることを提案された。提案は断ったが、こういった山辺さんへの信仰軽視の対応は最後まで続いた。

東京地裁で解散命令請求の証拠とされた32件の教団敗訴の民事裁判のうち、4件は過去において郷路弁護士が担当したものだった。いずれも山辺さんの時と同じく、実質的なマインド・コントロール理論を主張していた。

各訴訟と山辺さんのケースとで大きく異なるのは、原告の多くが監禁を伴う棄教強要(ディプログラミング)の被害に遭い、脱会した人々だったという点にある。例えば、4件のうち1件は札幌で行われた「青春を返せ裁判」だが、原告21人の証言内容を分析すると、75%を超える人が、「説得」される際に物理的な拘束があったことを認めた。また、全体の86%に当たる18人が意に反し、何らかの拘束状態にあったことが明らかになっている。

家庭連合に反対する一部のキリスト教牧師や脱会活動家の指示を受けた親たちが、信者となった子供を監禁した際、〝踏み絵〟をさせることが知られている。信者が脱会の意思を示しても、偽装かどうか見極めるために教団を裁判で訴えることが要求されるのだ。

そのため監禁中、批判情報を一方的に聞かされて脱会した人々は、教団に敵意を抱くか否かにかかわらず、必然的に棄教を迫ったディプログラマー側の意向に沿って証言することとなる。一般的に民事の裁判は刑事事件と異なり、厳格な事実認定は行われない。特に新宗教の問題では、客観的な証拠による判断ではなく、〝被害〟を訴える声やメディアの論調に判決内容が左右されることは多い。

また、郷路弁護士のみならず、32件の裁判の代理人のほとんどが、紀藤正樹弁護士や山口広弁護士など、全国弁連の代理人に偏っているのも特徴だ。ディプログラミングにより脱会した人々が反家庭連合を掲げる全国弁連の代理人の主張と歩調を合わせ、過去の献金などは「自分の自由意思ではなかった」「だまされた」とする証言が、教団敗訴の事例を作り上げてきたと言えるだろう。

山辺さんの事例のように、信仰軽視に基づく主張が常習的な裁判の手口だとすれば、そうして積み重ねた裁判例を東京地裁が解散の根拠とするのは、公平公正な判断と言えるのか首をかしげざるを得ない。

背教者の証言は32件の民事訴訟のほか、文科省の提出した裁判関連の文書にも頻出。供述証拠を提出した元信者159人のうち121人が、拉致監禁または監禁の疑いがあることも判明している。

ディプログラミングは欧米などでは違法行為とされている。一方、国連報告書で新疆ウイグルのイスラム教徒を「学習施設」(収容所)に入れ脱イスラム化するなどの弾圧に「人道の罪」と指弾された中国が、共産党傘下団体「中国反邪教協会」を通して地裁の解散命令決定を歓迎し、全国弁連を称賛した。地裁決定は事実上のディプログラミング容認となり、今後、国家が特定宗教の「信仰をやめさせる自由」を奨励し脱会サポートを強めることが懸念される。

(信教の自由取材班)

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