
世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の信者が埋葬されている三重県鈴鹿市の「中日本霊園」で26日、合同慰霊祭が行われ、近畿地方や中部地方などの信者遺族約800人が参加した。慰霊祭終了後、同霊園の遺族代表がメディアに向けて、教団の解散が確定し清算に入った場合、「家族の眠る墓がなくなるのではないか」と懸念する声明を発表した。
教団の遺族団体「中日本霊園遺族会」の中林次郎事務局長(60)は信者遺族の声として、教団が解散すれば「霊園施設の運営主体がなくなり、その維持管理が無責任に放置される可能性がある」と指摘。「霊園は亡くなった家族と私たちの心の寄りどころ」であり、その場所を失うことは「個人の魂の尊厳を著しく損なう」と強調した。
2014年の御嶽山(長野・岐阜県境)噴火で当時18歳の娘を亡くした家庭連合信者の伊藤光夫さん(60)も慰霊祭に参加。伊藤さんは「娘がここで眠るようになり、毎年、慰霊祭も行ってもらう中で心の傷も癒えてきた。霊園がなくなってしまうとは、今は想像もつかない」と語った。
同霊園で眠る信者は、墓石・納骨を含めて累計772柱。教団および教団関係者が名義となって管理する墓地は全国に8カ所あり、総累計は3200柱を超える。慰霊祭に出席した教団の田中富広会長は、解散後の墓地の処遇が不明確な点に触れ、「解散したら法人がなくなるだけという軽い問題ではないと、私たちは丁寧に訴えていきたい」と述べた。

<世界平和統一家庭連合・中日本霊園遺族会の声明>
敬愛する国民の皆さま。
私たちは世界平和統一家庭連合・中日本霊園に、亡くなった家族が入園(納骨)している遺族たちです。愛する家族がこの地に眠っています。
3月25日に東京地裁で出された解散命令の決定によって私たち遺族は悲痛な思い、重苦しい不安に覆われています。
「大切な家族が眠るこのお墓はどうなるのか…」
「毎年行われてきた聖和祝祭もできなくなるのか…」
そんな思いが毎日、押し寄せてきます。
霊園は亡くなった家族と私たちの心のよりどころで、神聖な場です。私たちはこの霊園で祈り、故人の魂と対話し、共に喜びや悲しみを分かち合っています。
教団が解散させられれば、霊園施設の運営主体がなくなり、その維持管理が無責任に放置される可能性があります。それは、私たちにとって耐えがたい痛みであり、故人の魂の尊厳を著しく損なうことになります。
敬愛する国民の皆さま。ぜひ私たちの声に耳を傾けてください。どうか、私たちの思いにご理解をいただけますよう心よりお願い申し上げます。