トップ国内強制棄教を解散の手段に 家庭連合解散請求に広がる ディプログラミングの闇(3)

強制棄教を解散の手段に 家庭連合解散請求に広がる ディプログラミングの闇(3)

海外から日本政府に懸念

国連自由権規約委員会の会合=2022年10月、ジュネーブ(中継動画より)

「宗教を破壊しようとする日本政府の姿勢は非常に危険だ」

韓国・ソウルで11日、信教をテーマとした国際会議に出席した元米下院議長のニュート・ギングリッチ氏は本紙の取材に対し、世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の宗教法人解散を進める日本の動きを強く批判した。東京地裁が3月25日に解散命令を決定した前日の24日にも同氏は自身のX(旧ツイッター)で、解散に反対する見解を示していた。

「最も基本的な人権は神を求める『信教の自由』である」とギングリッチ氏は強調する。このため米トランプ政権は、ホワイトハウスに信仰局を新設。同局の最高顧問に就任したポーラ・ホワイト牧師は、昨年12月8日に東京で開催された国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が催した講演会にビデオメッセージを寄せている。

この中でホワイト師は「現在、日本は国連の人権宣言の署名国としての、宗教の自由に関する公約を守っていないと考える世界中の著名な指導者たちから、懸念の声が上がっている」として、次の点を指摘した。

①米国務省国際信仰自由室は2022、23年の報告書の中で日本が宗教の自由を侵害しているという深刻な疑問を示した。22年報告書は安倍晋三元首相の暗殺以降、日本家庭連合が不寛容、差別、迫害のキャンペーンの犠牲者になっている。

②23年報告書は家庭連合が刑法に違反していないにもかかわらず、日本政府が教団の解散を請求したことは、これまでの規範から逸脱している。

③24年4月23日に国連は宗教の自由ならびに人権に関する報告者を通じて国連勧告を発行し、子供に教会に行くように強く勧める親が児童虐待と見なされる可能性のある日本政府のガイドラインは、エホバの証人や家庭連合などの宗教に対する迫害の原因になっているとして、日本が署名している国連の「人権宣言」ならびに「市民的及び政治的権利に関する国際規約」の順守に疑問を呈する。

④宗教の自由に関する国連報告者(ナジラ・ガネア氏)はマイノリティー宗教に対する宗教の自由の侵害の可能性を調査するため日本訪問を日本政府に公式に要請したが、日本政府は受け入れなかった。このことは日本における宗教の自由について世界中で深刻な懸念を引き起こしている。われわれ米国人は、日本のメディア、政府、法務省の一部が情報秘匿し、国民に事実を知らせていないことを懸念する。

東京地裁は、教団側が提出したこれら国際社会からの懸念について解散命令決定で全く触れなかった。しかも、文科省が解散の証拠とした家庭連合に対する民事訴訟の原告の大半がディプログラミング(拉致監禁しての強制棄教)で脱会した元信者だ。

ディプログラミングは米国で家庭連合信者が「ムーニー」と呼ばれた1970年代から流行し、さまざまな新興宗教の信者が標的にされた。結果的に、数々の拉致監禁事件を起こしたディプログラマー(脱会屋)が裁判で禁錮刑などに服することになり、90年代初頭までには違法行為とされている。

ところが、日本では同じ時期に家庭連合信者に対する拉致監禁がピークを迎えていた。警察が動かずディプログラミングは横行し、4000人以上の信者が巻き込まれた。国際NGO「国境なき人権」は2013年に改善を求める報告書「日本:棄教を目的とする拉致と拘束」を国連自由権規約委員会に提出。同委員会は14年に日本の人権状況に関する審査最終報告書で、「新宗教信者に対する拉致監禁強制棄教活動」は国際自由権規約に違反するとして「懸念を表明する」と明記した。

文科省の家庭連合に対する解散命令請求に際しても、国際人権弁護士パトリシア・デュバル氏は、「教会解散手続きを開始するための根拠」とされた民事裁判について「拉致と強制棄教(ディプログラミング)」によって教会を離れた元信者らが起こしたものであることを指摘。日本で家庭連合を解散させようとする一連の動きは「国際法違反」として昨年9月、国連に報告書を提出している。

これを東京地裁が精査することなく解散命令を決定したことは極めて問題である。家庭連合信者に対するディプログラミングを事実上、解散の手段にしたことになる。

(信教の自由取材班)

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