
銃撃事件も評価
中国共産党と密接な関係を持つ民間団体「中国反邪教協会」がこのほど、世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)に対する東京地裁の解散命令決定を「歴史的」と称賛する声明を出していたことが分かった。(信教の自由取材班)
安倍晋三元首相銃撃事件のあった2022年7月から、中国では共産党機関紙「人民日報」の姉妹紙で主に海外情報を扱う「環球時報」などが家庭連合を批判してきた。宗教法人法解釈を一晩で変えた首相答弁によって性急に進められた家庭連合解散命令請求は、民主主義における手続きとして強引だったが、結果として共産主義国家の中国と同調した信教の自由に反する動きだったと言える。
中国反邪教協会について、中国の宗教弾圧を監視しているオンライン宗教専門誌「ビター・ウィンター」によると、次のように説明されている。「中国国外では中国反カルト協会とも呼ばれ、2000年11月に創立された。公式には民間団体だが、実際には中国共産党と密接なつながりを持ち、一般的には中国共産党の関連組織として認識されている」
中国では法輪功や反共の理念を持つ家庭連合などが「邪教」とされている。家庭連合は1997年に邪教認定された。邪教認定された宗教の信徒は当局者から拘束されるなど宗教弾圧を受けている。
東京地裁の家庭連合解散命令決定に対する中国反邪教協会の声明は18日に発表され、「決定は統一教会が日本での違法活動だけでなく、他国の邪教問題にどう対処するのかを示した。社会が問題に共通の認識を抱き、法律が正義を示せば宗教の皮を被った邪教勢力を白日のもとにさらすことができる」と主張。献金で成り立つ他の小さい宗教への影響をも予想している。
また、山上徹也被告が起こした安倍氏暗殺事件が「重要な転換点になった」と評価。「全国霊感商法対策弁護士連絡会は1980年代から統一教会の違法性を追跡していた」として活動を称(たた)えた。
もともと全国弁連は、家庭連合の友好団体である国際勝共連合のスパイ防止法制定運動を阻止する目的で結成された。スパイ防止法制定運動は、冷戦時代にソ連・中国・北朝鮮など共産主義国のスパイ活動を法的に取り締まることができるようにすることを訴えたものだ。
声明では事実誤認の記述も含まれるが、看過できないのは「2022年に『不当寄附勧誘防止法』が成立し、マインドコントロールによる寄付が初めて規制の対象となり、裁判でも重要な基礎的な考えとなった」と記述していることだ。
不当寄附勧誘防止法に「マインドコントロール」は書かれていないが、野党の一部は強く明記を要求していた。一方、中国側では盛り込まれたという認識であり、国際的に日本が公式にマインドコントロール論を採用したというプロパガンダとなって影響する恐れがある。
東京地裁が解散命令決定を出す前日の3月24日、元米下院議長のニュート・ギングリッチ氏は自身のXに「日米同盟が弱体化し、中国共産党と日本が接近する」と投稿し、家庭連合への解散命令に懸念を表明した。今回、中国共産党傘下の同協会が東京地裁の家庭連合解散決定を歓迎する声明を発したことは、日本政府や司法、全国弁連は中国共産党の願いに合致していることを浮き彫りにしている。