トップ国内マスコミ 支持一色の一方で 「国家の弾圧」の批判も 「家庭連合の解散」地裁決定

マスコミ 支持一色の一方で 「国家の弾圧」の批判も 「家庭連合の解散」地裁決定

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の本部=東京都渋谷区

東京地方裁判所が世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の解散命令を決定したことを受け、マスコミは地裁決定を支持する報道・論調を取り、有識者のコメントも「地裁の決定は妥当」(島薗進・東大名誉教授、朝日新聞3月26日付)、「憲法や宗教法人法の観点からは予想された決定であまり驚きはない」(田近肇・近畿大教授、同)など決定支持で埋められた。しかし、異議を唱える有識者も目立つ。信教の自由を巡る宗教法人解散命令に「民法の不法行為」を入れた初のケースであり、慎重論が報じられないマスコミの状況に一石を投じる意見もある。(信教の自由取材班)

外務省元主任分析官で作家の佐藤優氏は3月26日、東京・永田町の参議院議員会館講堂で行われた勉強会「東京大地塾」で、「『民事』でもこの団体の解散命令を出したら、これは快挙だと、そういうふうには全然思わない。背筋が寒くなる。いつキリスト教に向かってきてもおかしくない」と述べた。

過去、解散させられた日本ホーリネス教会や大本教などを例に挙げ、「国家の宗教弾圧の姿勢は怖いものがある」と警鐘を鳴らした。

解散理由に「民事上の不法行為」が含まれたことについて、佐藤氏は「(不法)行為を行った人が刑事的または社会的責任を追及されるのであり、教団全体に網をかける話なのか」と疑問を呈した。その上で、教団が実践していることを禁止するのであれば、日本基督教団、神社本庁を含め全部、同様に扱わなければ不公平だと主張。宗教を信じている人に対して「信じていることや信者を揶揄(やゆ)することは絶対にいけない」と訴えた。

麗澤大学特任教授の西岡力氏は31日、プロテスタントの信者の立場から「解散命令は信教の自由を侵す」と題する論文をネットに寄稿。「今回の決定で、わが国の信教の自由は大きく制限された」とした上で、「数十年間、この国で宗教法人として認められて宗教活動を行ってきた団体が、政府の突然の法人解散要件の変更とその遡及的適用で解散請求がなされ、地方裁判所が請求を受け入れる事態に、恐怖を感じざるを得ない」とつづった。

地裁の決定では、「示談で献金を返還したケースまで『法令違反』の事例として採用し、『著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為』とした」ことに強い疑問を抱いた。

西岡氏は、家庭連合信者が拉致監禁によって棄教を強要された問題にも触れた。地裁は、国側は拉致監禁ではなく「監視下にあった」と主張したことに触れずに解散命令を出したことを批判した。その上で、強制脱会させられた元信者の証言を宗教法人解散の証拠に使っていることは国際的な常識から外れていると指摘。

教団を精力的に取材するフリージャーナリストの福田ますみ氏は本紙取材に、解散命令は家庭連合を狙い撃ちし、最初から結論が出ている「国策裁判」だと批判した。文部科学省はかなり前の和解や示談の例を引っ張り出し、地裁は「不法行為の蓋然(がいぜん)性が高いことが推測されるという、推測に推測を重ねた」お粗末なものと強調。証拠による事実認定という司法の大前提をもはや放棄しており、教団は米国をはじめとする国際社会に訴えるのが得策だと提案した。

政治家からも声が上がる。浜田聡参院議員は、自身のユーチューブで「地裁の決定は、山上容疑者による暴力による活動が成功したことになる。地裁の結果を喜ぶことは、テロ行為を肯定すること」と述べた。

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