トップ国内自治体 対策厳格に 議員の政党機関紙「購読強要」

自治体 対策厳格に 議員の政党機関紙「購読強要」

東京都内の各自治体で、議員がその立場を利用して職員に共産党機関紙しんぶん赤旗など政党機関紙の購読を強要する実態がアンケート結果により次々と明らかになっている。一部自治体ではハラスメント防止指針を策定するなど、是正措置を取り始めている。
(「しんぶん赤旗」勧誘問題取材班)

都庁と東京都議会議事堂

共産党は都庁規約無視

港区は昨年11月、「政党機関紙の庁舎内勧誘に関する職員アンケート」を実施した。調査によると、議員から政党機関紙の購読勧誘を受けた管理職が91%、そのうち心理的圧力を感じた管理職が79%にも及ぶ。さらに勧誘を受けた72%が購読していたことが分かった。

自由回答欄には 「今後の議会対応への影響や関係性の悪化を懸念し、購読を断れなかった」「購読をやめたいと思っているが、言い出せずにやめられない」などのコメントが並んだ。

この結果を重く受け止めた小倉りえこ港区議(自民)は2月20日、議会定例会で「購読を断ることや解約することは、職員にとって負担が大きい。職員の心の叫びを区長がきちんと汲(く)み取ってほしい」と要望。清家愛区長は「職員を守るためにも、速やかに取り組む」と早期の是正を約束した。

板橋区の職員アンケート(令和6年)でも機関紙購読勧誘に伴うパワーハラスメントの実態が浮き彫りになった。「管理職が議員から私費で新聞の購入を強いられている。購入しなかった場合に関係性の悪化や議会内での理不尽な質問が想定されるため、管理職は購入せざるを得ない」「庁舎内での新聞販売及び勧誘をやめていただきたい」といった職員の声が寄せられた。「金銭の強要だけでなく、偏った思想の強制・洗脳にも繋がる」という辛辣(しんらつ)な意見もあった。

同区はアンケートを受けて、「板橋区議会ハラスメント防止の指針」を策定し、全議員に「ハラスメントを『行わない・許さない』という共通認識を持ち行動していく」よう周知。4月1日には「議会におけるハラスメントの相談窓口」を開設する。

町田市では、政党機関紙勧誘実態を受け「庁舎内の物品販売は禁止事項であり、政党の機関紙等を購入する行為を厳に慎む」という職員通達を4度にわたって行っている。

このほか、府中市や狛江市でも、職員から「会派の新聞購読を強制的にさせられている」という声が多数寄せられ、庁舎管理規則の徹底など対応を急いだ。江東区でも、管理職の7割以上が購読を勧誘された実態が確認されている。

都議会では今月13日、都庁内で「(しんぶん赤旗の)購読を断れず、ストレスを感じている」という職員の声が紹介されると、総務局長は「都庁内で購読勧誘は禁止している」と明言した。ところが、共産党は翌14日付のしんぶん赤旗紙面で、「購読勧誘は憲法で保障された自由」と反発し、都庁の規約を無視する意向を公言した。

港区に請願を提出し、アンケート調査を求めた「パワハラから職員を守る東京都民の会」は、港区の結果を東京都全体の問題と受け止め、都内自治体の3月議会に陳情や要望書を提出し、改善を求める活動を展開している。代表の村上誠氏はこう話す。

「庁舎内で営業禁止なのは当然の規約。規約違反の勧誘行為をいつまでも放置すべきではない。今回都議会において総務局長から『都庁内で購読勧誘は禁止している』旨が明示されたことは大きな進展。他の自治体もコンプライアンスの観点、そして職員を守るために、勇気を持って厳格に対応してほしい」

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