






ダンサーが手を振り上げた瞬間、「パシャパシャ」と一斉にシャッターを切る音が聞こえてきた。皆「ここぞ」という瞬間を狙い、夢中でカメラを構えている。
アジア最大級のカメラ見本市「CP+2025」(横浜市・パシフィコ横浜、2月27日~3月2日)では例年、各メーカーの定番製品から最新モデルまで、カメラやレンズ、関連製品などが展示され、多くの愛好家を魅了する。今年は写真展や家族向けのイベントにも力が入れられており、若い世代や親子の参加者の姿も多く見られた。
メーカーの体験コーナーでは、気になる最新機種を手に取り、その性能を確かめることができるが、そこで印象的な場面に出合った。ある男性が一通り撮影を終え、「ふぅー」とため息をついて去っていった。よく見れば、車が買えるほどの高額なカメラだ。とてもではないが、簡単には買えない。「夢心地」はあっという間に終わったというわけだ。
会場の中でもひときわ賑(にぎ)わっていたのが、「SIGMA」のブース。2月24日に斬新なデザインのカメラを発売したばかりで、ひと目見ようと長蛇の列ができていた。
「家に、幸せの居場所をつくろう」と提案するのは「富士フイルム」だ。大切な思い出は、印刷して額に入れ、インテリアとして部屋に飾る魅力を伝えていた。ブースを訪れた親子は、記念写真をその場で印刷し、10種類以上の異なる質感の台紙やフレームを組み合わせながら「とても素敵、家に飾ってみたい」と仕上がりの違いを楽しんでいた。
会場では写真展も同時に開催。特に「猫」に焦点を当てた「ねこ写真展@CP+2025」には若い女性客が集中していた。一方、男性の参加者が多く集まっていた所は、「ゴジラ」のジオラマを展示する「TAMRON」のブース。「ガオー」と今にも声を上げそうなほどリアルな模型をはじめ、映画のワンシーンを彷彿(ほうふつ)させる迫力ある世界観が男心をくすぐる。上から、下から、お気に入りの一枚のため撮影に熱中する姿は、まるで監督に成り切っている様子だった。
男の子たちの心をわしづかみにしたのは、中央に設置されたプラレールの巨大ジオラマだ。水色や黄緑色のラインが入った電車やよく見掛ける白い新幹線まで、次々と目の前を通過。お気に入りの電車を「じーっ」と目で追い掛けている男の子たちは皆、自分が運転席に座っている気分だったに違いない。
4万人以上が足を運んだ今年のCP+、プロのユーザーだけでなく、家族向け、初心者向けのさまざまな企画で来場者を楽しませた。来年はどのような企画が用意されるのか期待が膨らむ。
(文と写真・宇野泰弘)