トップ国内家庭連合の解散請求は不当 国際人権弁護士 パトリシア・デュバル氏

家庭連合の解散請求は不当 国際人権弁護士 パトリシア・デュバル氏

 Patricia Duval フランス・パリ弁護士会所属の弁護士。国際人権法、特に宗教的少数派の権利を専門とする。宗教問題での国家の中立義務について多くの学術論文を発表している。

東京地方裁判所で進められている世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の解散命令請求を巡る裁判についてフランスの国際人権弁護士パトリシア・デュバル氏は22日、米紙ワシントン・タイムズに寄稿し、請求の不当性を訴えるとともに、文部科学省が提出した証拠について捏造(ねつぞう)疑惑が出ていることに懸念を表明した。以下は寄稿全文


◇   ◇

日本政府は、安倍晋三元首相暗殺事件に捜査の焦点を当てる代わりに、家庭連合を標的にすることで、世界中の政治・宗教指導者を驚かせた。家庭連合に罪はなく、この衝撃的な公開殺人とは何の関係もない。

日本の家庭連合は今、信教の自由を巡って、日本の法制度の中で生き残りを懸けて戦っている。しかし、最近の一連の出来事によって、この日出(い)ずる国で、非公開で進められている司法プロセスの中でいかに家庭連合が受けるべき正当な手続きを奪われ、そのプロセス自体が教会の反対派が吹聴して回った古い情報や、おそらくは証拠の操作によって信頼を失っているかが明らかになった。政府は家庭連合を解散させ、すべての資産を清算、没収しようとしている。教会は消滅する。

中立的な情報筋は最近、宗教問題を担当する日本の文部科学省が法廷に提出した証拠には、捏造された証言が含まれていることを明らかにした。

文科省が採用した証人らは、証言が誤って捉えられていたり、修正されたりしていると声を上げた。彼らは、証言が、文科省によって解散命令請求のための告発的証言に作り替えられたと主張している。

「証拠書類」巡り国会で質問

文科相は答弁で捏造否定せず

これを受けて、一人の国会議員が政府に対する質問書を作成したものの、解散命令請求を巡る裁判は引き続き非公開で行われ、証人の主張についての説明もないことを明らかにした。

これらすべてが、家庭連合の解散命令請求を裏付ける証拠を日本当局は持っていないのではないかと疑問視する引き金となっている。

山上徹也被告は2022年7月8日、家庭連合への恨みから安倍氏を射殺した。山上被告は母親から献金を受け取った家庭連合を非難している。安倍氏は家庭連合の関連団体、天宙平和連合(UPF)が主催する平和推進行事に何度か応援メッセージを送ったことがあり、山上被告は異常な論理で、安倍氏が教会への支持を表明したとして襲撃することを決めた。

全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連、家庭連合の排除を目的とする極左・無神論的集団)の働き掛けを受けてメディアはすぐに、家庭連合が献金をするよう信者に圧力をかけていると非難し、日本政府は権力を行使して教会の完全な解散・清算を請求した。認められれば宗教法人・家庭連合は消滅することになる。

日本政府はまた、憲法に盛り込まれた「公共の福祉」という市民的自由に関する例外を利用して、家庭連合に対する解散命令請求を支持し、宗教的少数派全般に対する抑圧的政策を正当化している。これは特に、韓国の家庭連合や米国のエホバの証人のように、外国発祥の教派である場合に適用されている。

捏造された証拠

25年1月27日、産経新聞は、共同通信の報道を受けた記事を掲載した。

共同通信は 「教団批判に利用されている」とする家庭連合信者のインタビューを公表した。

このインタビューの中で、愛知県に住む60代の女性信者は、90歳代の母親が文科省への陳述のためにインタビューを受け、母親は証言が家庭連合の解散への反対の立場を表明するのに役立つと思っていたことを明らかにした。母親は、「私はお金を返せとは言っていない」「(教会を批判する人々に)私は利用されている」と説明。政府が証言を完全に捏造(ねつぞう)したことにショックを受けたという。

25年3月10日、家庭連合の男性信者が文科省職員を私文書偽造・同行使容疑で東京地検に刑事告発した。これは、文科省が東京地裁に家庭連合に対する解散命令を請求する際、証拠として不適切な供述調書を提出し、改竄(かいざん)した疑いがあることを受けたものだ。

解散命令の承認は日本の恥さらし

25年3月13日、参議院総務委員会で、NHK党の浜田聡参院議員が、「米トランプ政権における宗教保護政策と、わが国における家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求について」質問した。

浜田議員は、徳永信一弁護士によるⅩ(旧ツイッター)への投稿に言及し、「裁判所での審理に用いる証拠の偽造を公務員たる文科省職員の指定代理人が行った」と述べた。

時を同じくして、「信教の自由」の保護を最優先課題とし、日本での家庭連合への差別的弾圧を問題視する米トランプ政権が動きだした。捏造された証拠に基づく統一教会の解散命令請求が承認されれば、日本は世界に恥をさらすことになる。

浜田氏の質問はこうだった。「徳永信一弁護士の発信内容の事実関係に問題がないかどうか」

文化庁の小林万里子審議官はこう答えた。「発言について承知している。家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求については、非公開、非訟事件により東京地裁に継続中。裁判外でコメント控える。請求は文化庁が被害者からの情報収集を丁寧に行うなど、所轄庁として宗教法人法に則(のっと)り、解散事由に該当すると適正に対応を行ったもの」

浜田議員はここで、「『徳永信一弁護士指摘の偽造、捏造を文科省、文化庁が否定しない』点が大きい」とコメントしている。

注目すべきは、地裁での審理が証人のプライバシー保護のために非公開とされていることだ。

しかし、証人が自ら公に出ることを決めた以上、政府によって証言が改竄されたと主張する証人について、国会議員が質問したことに答えないことに正当性はない。

政府の非公開の主張は、公正な公聴会の権利を回避し、政府の証拠の問題点から国民の目を逸(そ)らすための安易な方便に見える。

ニュート・ギングリッチ米元下院議長は、私が25年2月4日に講演した「国際宗教自由(IRF)サミット」で、「私が22年11月にワシントン・タイムズ紙で警告したように、家庭連合への攻撃は実際には自民党への攻撃であることは明らかだ」と述べた。

「まさにその通りで、率直に言って、中国との関係を緊密にし、米国との関係を遠ざけるような環境をつくるための共産党の取り組みだった。政府は混乱しており、選挙では惨敗している」

「そこで何が起こったかというと、政府は統一教会を破壊することにした。日本国憲法を無視するものであり、何の罪も見つからず、やっていることに何の根拠もない」

「バイデン政権はすでにこの活動を非難している。国連はすでにこの活動を非難している。そして今、トランプ大統領だ。宗教の自由に深く、情熱的にコミットする人物が誕生した」

その上でギングリッチ氏は、「このことは、米国と日本の関係、日本の政治に対するわれわれの見解に深刻な影響をもたらすだろう」と述べた。これに先立ち、ギングリッチ氏はワシントン・タイムズ紙で次のように述べていた。「はっきりさせておきたい。統一教会に対する現在の攻撃は、日米同盟を弱体化させ、中国共産党と日本が接近するきっかけをつくるためのものだ」

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