「質問」再回答は行わず
世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)は7日、東京地方裁判所に解散命令請求を行った文部科学省が証拠として提出した陳述書に捏造(ねつぞう)があることについて文化庁に釈明を要求した。また、文科省が解散命令請求に向けて行った質問に一部回答しなかった項目に改めて回答を求めていることに対し、既に解散命令請求をしており「追加報告を求める権限などない」としている。
家庭連合は2月19日に「文部科学省による虚偽証拠捏造行為-解散命令請求裁判で暴かれた国家権力の大罪-」と題する報告書を公開。この中で元信者らの陳述書を指摘して、虚偽や捏造などがあることを列挙している。阿部俊子文科相は2月21日の記者会見で、陳述書の正確性について言及せず「審理を非公開とする趣旨に反する」と述べた。
これに対し、家庭連合側は「宗教法人解散命令申立事件が非公開手続とされているのは、宗教法人又は信者の信教の自由や法人・個人のプライバシー等の秘密を守ることにあり、同事件の裁判で国が行った虚偽証拠捏造という不正行為を秘密として守る理由など全くない」として、文化庁に陳述書の捏造に対する釈明を19日を期限に求めた。
また、解散命令請求に向けた文科省の質問に一部回答を拒んだとして、同省が家庭連合に行政罰の過料を科すよう求めた裁判で3日、最高裁が教団側の抗告を棄却したことから、文化庁は5日、答えていない質問項目を回答するよう改めて家庭連合に通知していた。
家庭連合は最高裁の判断を受けた声明の中で、文科省の質問には、信者のプライバシーに関する質問などを除く質問には「できる限り回答に務めた」と強調。また、今回の文化庁からの通知に対しては「報告徴収の結果、解散命令請求を申し立てたのであるから、その後に追加報告を求める権限などない。解散命令申立事件の審理中に、対立する相手方当事者に対して、同事件に関する資料の提出を求める権限なども絶対に認められない」とした上で、「法律上の根拠を欠く報告徴収を行い、報道機関に報道させた目的が、『家庭連合は悪質である』という印象を世間に与えることにあるのは明らかだ」と強く批判している。
関係者によると、これまで家庭連合信者を標的に信者を拘束してマンションなどに閉じ込めて棄教を迫る「拉致監禁・強制棄教」が組織的に行われてきた。こうした背景もあり、信者の個人情報を求める文科省の質問には慎重な対応を取ったという。
文科省は質問権行使から解散命令請求の過程で全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)と緊密に連携を取っていることを認めており、全国弁連は「拉致監禁・強制棄教」の結果、脱会した信者による献金などの返金訴訟を手掛けてきた。
「拉致監禁・強制棄教」問題は、国連・自由権規約委員会が日本政府に是正を勧告しているが、文科省は解散命令請求を巡る東京地裁での審理で拉致監禁を「監視」と言い換えるなど、家庭連合信者の人権に配慮する姿勢を示していない。