トップ国内【きょう45回目の「北方領土の日」】戦後最悪の日露関係 日本センターの活動も停止

【きょう45回目の「北方領土の日」】戦後最悪の日露関係 日本センターの活動も停止

北方領土の島々ち面積

北方領土問題への理解と関心を深めるために制定された「北方領土の日」は、今年で45回目を迎える。

2月7日は日本とロシアの国境が択捉島とウルップ島の間にあることを定めた「日露通好条約」(1855年)が調印された日。これをもって択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の北方四島が日本の領土として国際的にも明確になった。

4島には戦前、約1万7000人が暮らしていたが、第2次大戦の終結直前、日ソ中立条約を破って侵攻してきたソ連に不法占拠され、住民は全員強制的に本土に引き揚げさせられた。

ロシアがウクライナを軍事侵攻して間もなく3年が経過する。自由主義陣営の欧米諸国と歩調を合わせウクライナ側に立った日本が経済制裁を科したことにロシアが反発。平和条約交渉の中断を一方的に表明するなど、悪化した状況が続いている。

こうした影響で、政府が「北方領土問題の解決を含む平和条約交渉の進展のための環境整備に資するもの」として北方四島で行う三つの協力・交流事業、すなわち①四島交流、自由訪問及び北方墓参②北方四島住民支援③北方四島を含む日露隣接地域における協力―は中断している。政府関係者は「米ソ冷戦後、最悪の日露関係だ」と憂える。

政府による外交関係の修復が難しい中で、民間交流は頼みの綱だった。ところが、ロシア政府は今年に入り、日露の経済交流を支援してきた「日本センター」に関する両国政府の覚書の適用を終了すると決定した。日本センターは1994年以降、インフラ技術の支援や日本語教育を通じた人材育成などを目的にロシア6都市に設置され、日本政府の予算で運営されていた。日本の文化やアニメに興味を持ち、日本語を習いたいというロシア人が集まる場所として親しまれていた。

ロシア政府の公式サイトの文書によると、効力を終了するのは2000年9月と03年6月に署名された日本センターに関する日露の覚書。ミシュスチン首相がロシア外務省に、日本側への適用終了の通告を指示した。林芳正官房長官は「日本センターは、日ロ関係が現在の厳しい状況にある中でも、日本企業の支援や市民レベルでの相互理解の促進に取り組んできており、その活動がロシア側によって一方的に停止されることは受け入れられない。必要な確認などを行った上でしかるべき対応を取る」と述べた。

ロシアの日本大使館は「ロシア政府から正式に通報を受けておらず、確認した上で対応を検討する。活動が一方的に停止されることは受け入れられない」とした。ところが、 ロシアの裁判所は1月31日、「日本センター」のうち極東サハリン州にある事務所について、必要な許可を得ずに日本語教育を行っていたとして罰金を命じた。

それに先立ち、ロシア検察庁は23年4月、北方領土の元島民らでつくる「千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)」を「好ましからざる団体」に認定した。千島連盟はこれまで返還運動のための啓発活動を長年続け、交流事業なども行ってきたが、この認定によってロシア国内での活動が禁止され、関係者の入国も制限された。

ウクライナへの侵攻を「6カ月かそれよりもっと前に終わらせたい」と公言したトランプ米大統領が誕生した。侵略が終われば、日露関係が修復に向かって動きだすだろう。今のうちから隣国としてのロシアとどのように向き合うかを考える必要がある。4島返還に向けた交渉と交流の積み上げが台無しになったが、今はロシアによる占拠の不当性をより明確に国際社会に訴え、国内の返還世論を高めていく機会でもある。政府は4島返還を視野に、交渉再開に向け綿密な戦略で作業を進めていくべきだ。

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