
1月27日に行われた元タレント中居正広さんの女性トラブルを巡るフジテレビの2度目となる記者会見は、「全てのメディアに門戸を開き、最後まで質問を受け付ける」ということで長丁場になった。午後4時に本社会場で始まったが、終了したのは翌28日の午前2時24分。会見時間は10時間を超えた。
記者がフジテレビ本社に到着すると、会見会場では手荷物検査や金属探知機による安全確認が行われた。大勢の警備スタッフと共に厳重なセキュリティ体制も敷かれていた。
メディアにほぼ制限はなく、400人以上がその場に臨んだ。会場で記者が話しかけた人の中には、「昨日からSNSを始めたばかり」という人までいた。
開始10分前に会場入りしたが、用意されていた椅子はほぼ埋め尽くされていた。会場の左右の端と中央後方には、動画配信や写真撮影のためのスペースが用意されており、所狭しと撮影機材が並んでいた。スマートフォンで動画撮影を行っている人が多数いたのも印象的だった。
会見の間、記者は比較的前方で撮影をすることができた。冒頭、役員が一列に並び、港浩一社長が謝罪文を読み上げ始めた。原稿を持つその手は震えているのがはっきり分かった。質疑応答に移ると、質問のほとんどは、中居さんと被害女性の問題に集中した。特にフリージャーナリストらからの追求は容赦なかった。会場には怒号が飛び交い、双方が感情的になる場面が何度もあり、終始会見は混迷を極めた。およそ10時間で休憩はわずか一度だった。
被害女性のプライバシー尊重の観点から、回答できる内容は限られていた。第三者委員会の報告を待たなければ、フジテレビ側からは正式に回答できないことが多いのは分かりきっていたが、それでも不毛な押し問答が終わることはなかった。
しかし、「質問が止むまで」と自ら始めた記者会見のため、フジテレビ側は誰も中断できない。「最後まで荒れた」記者会見を終え、疲弊した役員らは力なく頭を下げた後、会場を後にした。その姿が画面越しに映し出されると、SNSではもはや同情の声すら多く上がった。
(宇野泰弘)