都内初の実態調査 「禁止すべき」意見多数
去る3月の港区議会で、職員に対する政党機関紙の勧誘実態に問題はないかの調査を求める請願が採択されたのを受け、同区は管理職100人に対して調査を行い、このほど結果を公表した。それによると、勧誘を受けた時、「心理的圧力を感じた」のが79%に及び、購読したのが72%だったことが判明した。「意見」を書き込む欄には、「やめたいと思っているが、言い出せずにやめられない」「勧誘、配達、集金は禁止するべき」といった不満や注文が55件も記されており、異常な実態が浮き彫りとなった。(「しんぶん赤旗」勧誘問題取材班)
都内初となる職員アンケートは10月25日から11月6日まで無記名で行われ、回答率は67%だった。「本区議会議員から政党機関紙の購読の勧誘を受けたことがあるか」に対して、「ある」が61人で91%。その時の職位は、課長級30人、係長級27人で、他に主任(係長級への昇任が決まってすぐ)時に勧誘を受けたなどが4人。主に管理職を対象に昇進時を狙って勧誘している実態が裏付けられた。
注目されるのは、これら管理職の職員のほとんどが庁舎内勧誘行為について問題視しているのに改善されてこなかった点だ。任意で記入した「意見」には、「購読を断ることや解約することは、心理的な負担が大きい」「経済的な負担となっている」「個人での解約を後押しできるような通知などを出して欲しい」といった声も寄せられている。
3月議会の採択では、共産党議員団、港区れいわ新選組、みなと政策会議が反対。風見利男共産区議が「憲法19条に保障されている思想の自由は政党機関紙でも同様に保障されるべき」と述べ、不採択にすべきと求めていたが、26対7の賛成多数で採択されていた。
小倉りえこ同区議は自身のブログで、「誰が配布や集金をしているのか」を委員会で質問したところ「集金は議員、配布は議員でも職員でもない人が始業前に執務室に入ってデスクに置いたり」し、「部外者」が配達しているとの返答に「ちょっとびっくり。部外者、やり放題じゃないの」との感想を載せている。アンケートでも、「個人情報や秘匿情報の保護の観点から、自由に執務室内に入室し、集金や配達をすることは是正すべき」との「意見」が12件も記されていた。
「こうした異常な実態は、調査をしてみないと分からない。心理的圧力をかけて購読させる勧誘がパワハラになっていないか、都内の他の自治体でも職員に寄り添って実施したらどうか」。請願人で「政党機関紙の庁舎内勧誘の自粛を求める都民の会」代表の村上誠氏はこう語っている。