トップ国内【連載】脅かされる信教の自由㊻ 第6部 宗教者の声 改革は文化を変えること 世界平和統一家庭連合 田中富広会長に聞く(下)

【連載】脅かされる信教の自由㊻ 第6部 宗教者の声 改革は文化を変えること 世界平和統一家庭連合 田中富広会長に聞く(下)

インタビューに答える、世界平和統一家庭連合・ 田中富広会長=11月15日、都内で

――政府が解散命令請求を行ったことで、本紙の取材でも周囲から非難されたり差別を受けている信者が少なくない。特に傷ついている2世信者へのメンタルケアを教団が行ってほしいという声もあった。

おそらく傷ついている領域がいろいろあって、どういうメンタルケアがベストか分からないが、やれることはやらなければならない。教団がこの事件以降、遅ればせながら取り組んだのが「認定家庭相談員」だ。教団の研修を受けて1450人ぐらい登録しているが、携帯の会員アプリから相談を申し込める体制までつくった。

かつてなら「自分の相談したことが所属先スタッフに報告されるのだったら言わない方がいい」となったかもしれない。今は個人で申し込めるし、誰に相談を受けたいか名前を指定できる。

ただ、心に傷を持ちながら距離を置いている信徒たちから見たら、おそらく一番大切なのは教団の在り方、つまり文化だ。教団の文化が変わってきたことを知ってもらうことが一番の解決の道を提供していく気がしている。

――教団のコンプライアンス宣言は2009年に出されていたが、改革が徹底していなかったのではないか。

十分でなかったことは認める。家庭に向き合う教会側の姿勢が不足していたことは感じる。そこを教育できなかったことが改革の妨げになったということは言える。

2009年にコンプライアンス宣言をした。先祖の因縁などで不安を煽(あお)って献金させてはいけない、経済状況に比して高額献金をさせてはいけない、ということは何度も指導もしてきた。最初から教団名を名乗る伝道も徹底した。結果として大幅に裁判が減った。コンプライアンス宣言後に最初の献金を捧(ささ)げた元信者が民事裁判を提起したのは4件で、2016年以降は1件も起きていない。

それでも「コンプライアンス宣言を指導していない」とわれわれは文科省から言われている。「コンプライアンスを教育した証拠を示せ」というのが文科省の質問権行使における質問の一つだ。われわれはたくさん証拠を出した。全国会議でのコンプライアンス教育の議題、講義案、全国に流した公文など証拠は全部出した。

――教団改革の進み具合について、進展状況などは調査しているのか。

取り組んでいる柱は二つあり、一つは緊急性を要するものだ。献金を受ける際、借金でしてないか、トラブルが起きる原資ではないか、家庭生活に影響が出ないかなどを確認しながら、教団側も本人側も納得してから納めてもらう。世論からも強く関心を持たれるので、取り組み続けてきた。

献金の受領に関しては本当に変えた。コンプライアンスをしっかり遂行するために、ガイドラインを作り確認を厳格にして受領書を出すなど、改革を進めてきた。

二つ目の柱は、やはり文化が変わらないと未来はないということ。教団の根本的な改革、開かれた教会となる文化だ。一朝一夕にはできないが、大方針としてしっかりと柱を据えて取り組んでいきたい。

今、2世たちが責任者になっている。全国の責任者の3分の1が2世だ。信徒との向き合い方、各家庭での向き合い方、組織運営、会議の進め方、いろいろなものが違う。これが教団の新しい時代の変化だと思う。

(信教の自由取材班)

=第6部終わり=

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