トップ国内【連載】脅かされる信教の自由㊺ 第6部 宗教者の声  信者の拉致監禁は「非道」 世界平和統一家庭連合 田中富広会長に聞く(中)

【連載】脅かされる信教の自由㊺ 第6部 宗教者の声  信者の拉致監禁は「非道」 世界平和統一家庭連合 田中富広会長に聞く(中)

インタビューに答える、世界 平和統一家庭連合・田中富広 会長=11月15日、都内で

――世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の信者が長期間密室に閉じ込められて無理やり脱会させられる、いわゆる拉致監禁・強制棄教問題がある。多くの信者が被害を受けたことをどう考え、対策を講じているか。

会長になって改めて拉致監禁下で棄教を迫られた人が多くいたことを知り驚いている。家庭連合本部の中にも何人もいる。被害者代表格の後藤徹さん(家族から12年5カ月監禁され、解放後起こした民事裁判で勝訴)たちと向き合いながら、報告を受け対策を考えている。

約4300人の被害者のうち3割は教会に戻ってきたが、7割は教会から去った。教団に戻った人も心の傷、家族との関係、今なお続くPTSD(心的外傷後ストレス障害)を含めて苦しみを背負っている。決して拉致監禁以前の状態ではない。

教団に帰ってきた方々が、帰ってこなかった方々を被害者としてシンパシーを感じ、連絡を取り合っているケースもある。この方々は本当に教団を恨んでいるわけではないが、家族と関係を断絶され、引き裂かれ、それを改めて修復しながら今、生きている。この修復の努力はどれほど凄(すさ)まじかったか。だから逆に拉致監禁の話は自分が被害を受けていても家の中で親に対して出せない。

ただ言えることは、これは絶対許せない。最初の頃は精神科病院に入れたり、用意されたマンションの一室に力ずくで閉じ込めたりするケースがあった。家族や親族が拉致監禁した瞬間から、どうにもならない悲劇をもたらした。警察に行っても、「家族問題だ」ということで警察は動かなかった。

親が子供を拉致監禁する。親子関係を完璧に断絶させて、棄教を迫る職業的脱会屋など、強制棄教に関わった人たちは、人権問題から見たら一番非道な世界を親たちに指導した。

フランスのパトリシア・デュバル弁護士が国連に提出した意見書で指摘したが、国連の自由権規約人権委員会が3回にわたって日本政府に対し、拉致監禁・強制棄教は信教の自由の侵害であり人権侵害であると通告した。しかし、日本政府は3回とも無視した。世界から見たら異様な状態だ。

――信教の自由の主張について、教団の利益のためだという批判はないか。

チベットやウイグルの問題などで世界の人権活動家は動いているのに、教団が教団だけの人権を叫ぶだけでは通らない。他宗教の信教の自由にも本気で取り組む覚悟をしないといけない。教団がそういうテーマにちゃんと向き合って、関わっていくことを期待されていることも感じている。

――韓国発祥の新興宗教ということもあり、一部マスコミなどで「反日」という批判がある。

「反共」は社会に知れ渡ったが、「反日」とレッテル貼りされるようになった。これは、われわれの真実を覆い隠してしまった。

今の質問に答えるとしたら、明確に「反日ではない」と言うほかない。(教祖の)文鮮明先生は「国を愛さない者は世界を愛することはできない」とはっきり教えている。日本の家庭連合のビジョンの第1が「為(ため)に生きる幸せな家庭」、第2が「地域と共にある教会」、第3が「国と世界のために貢献する家庭連合」だ。

どこから見ても反日という言葉は出てこない。あえて文先生の言説をもって批判するのであれば、日本を愛する親日の言説もたくさんあるので、ちゃんと出してほしいというのが正直な思いだ。

(信教の自由取材班)

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