Home国内【連載】脅かされる信教の自由㊸ 第6部 宗教者の声 マスコミ・政治の暴走を危惧

【連載】脅かされる信教の自由㊸ 第6部 宗教者の声 マスコミ・政治の暴走を危惧

各宗派から発言相次ぐ

IRFアジアで発言する三宅善信氏(写真中央) =7月22日、東京都千代田区(加藤 玲和撮影)

昨年5月、世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)は韓国で国際合同結婚式を開催した。これに先立つ同年2月、国会内で開かれた野党の国対ヒアリングで立憲民主党の山井和則衆院議員は、「合同結婚式までには解散命令請求が出されなければならない。もし遅れたら、合同結婚式を経て生まれた子供たちから『なぜ止めてくれなかったのか』ということになりかねない」と発言。家庭連合の信仰を持つ両親から生まれた2世は存在してはいけないかのような口ぶりだった。

この発言を問題視した茨城県取手市議会議員の細谷典男氏は、今年7月20日に新潟市で家庭連合信者らが開いた「信教の自由と人権を守るシンポジウム新潟県民集会」で講演し、「(ナチス・ドイツの)ヒトラーと同じ全体主義の発想、優生思想」だと批判した。「足手まといになるという理由で身体障害者を殺害し、これが後にホロコースト(国家権力が組織的に行ったユダヤ人大量虐殺)につながった」。こう細谷氏は警鐘を鳴らし、民衆の支持を背景に政権を獲得したナチス同様に看過してはならないと訴えたのである。

同新潟県民集会には多くの宗教宗派から参加があった。良寛和尚の教えを守り継いでいるという男性は危機感を覚えたという。「現代でも、こうしたこと(ホロコースト)が話題に出ること自体が異常だ」と憤った上で、「どんなに批判を受けようと、家庭連合信者が信念をもって信仰を実践していることに感動した」と感想を述べた。

法華宗の住職は、「膨れ上がった民意に対しては法がしっかり抑えるべきなのに、機能していないことを危惧している。弱者が叩(たた)かれるままという状態は不健全だ」と述べた。

「息子が2年前に家庭連合に入信したことをきっかけに、家庭連合の教えを学んでいる」という創価学会員の女性は、「家庭連合の本質、教え、活動について、一部だけを見て判断してはいけない」と強調。「学会も批判されているので、集会では勇気をもらった」と話した。

キリスト教系新興宗教で支部長を務めるある牧師は、10月14日、大阪市で開かれた同様の集会に参加。「マスコミと左翼が暴走し、法曹界を含め世論が完全に迎合した。全体主義に近い息苦しい空気を感じる」と警戒感を示した。

また、主の羊クリスチャン教会(横浜市)の中川晴久主任牧師も家庭連合信者らが各地で主催する集会に登壇。講演の中で解散命令請求の不当性を訴えている。

家庭連合について25年以上前から異端と見ていた中川牧師は2013年のある日、「潰れてしまえ」という思いを秘めながら横浜市の教団施設に牧師であることを伏せて潜入した。繰り返し潜入して信者と触れ合った結果、教団に対する考えが一変したという。

「家庭連合には信者同士のつながり、絆のようなものがあって、とても良い交わりが存在する。信者がお互いに励まし合って、助け合いながら真面目に信仰生活を送っている。そこから家庭連合に対する私の中の問題もほぼ解決した」

中川牧師が関わった教団の人々は皆「社会を良くしたいと思う気概に溢(あふ)れた人たち」であり、「特に2009年以降、裁判件数やクレーム件数等は、目に見える形で改善がなされているように思える。その評価が一切されていないのは、むしろ問題だ」と訴えている。

国際会議の場で声を上げる宗教家も出てきている。7月22日、東京都内で開かれた国際宗教自由サミット(IRF)アジアでは、神道国際学会の三宅善信代表理事が解散命令請求問題を取り上げた。

「民主的権力の源泉である国会で、特定の教団との結び付きを恐れて、国会議員が特定の新興宗教の社会的抹殺にさえも目をつぶってきた。しかも、マスメディアは裁判官の役割を果たしてしまっている」と発言し、大手メディアの「解散ありき」一辺倒の報道に一石を投じている。(信教の自由取材班)

◎訂正 11月27日付1面「脅かされる信教の自由41」の記事中1段落目の「千葉県在住」を「愛知県在住」に訂正します。電子版は修正済みです。

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