愛知県在住で元日本基督教団牧師、現在は独立系ユーチューバー牧師の岩本龍弘(たつひろ)氏は6年前、「日本基督教団:左翼の温床」というタイトルの動画をユーチューブに公開し、日本基督教団が左翼の活動家の温床であることを暴露した。
公開当時はまったく反響がなかったが、今年3月中旬に、この動画を編集してSNSに投稿したいという申し出があった。信教の自由を守るために活動をしているという人物から、世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の関係者も使いたいので許可してほしいという話だった。
「この動画がきっかけで、数多くの家庭連合の信者たちがXをフォローしてくれたり、動画チャンネル登録をしてくれたりするようになった。特に、知り合ったばかりの家庭連合の方々が『ドラゴン牧師』とチャンネル命名してくださり、親しく交流している。聖書のお話をすることなどを通して、少しでも慰めと励ましを提供することができれば幸いであると思っている」
家庭連合との関わりについてこう述べる岩本氏は、日本基督教団の牧師を務めていた当時は、旧統一教会、エホバの証人、モルモン教は異端であるという認識を持っており、脱会工作についてもレクチャーを受けていて知っていた。
「新任教師オリエンテーションの講師の一人が(反統一教会急先鋒(せんぽう)の)浅見定雄氏だったので、家庭連合信者に対する脱会活動についての話も一通り聞いていた」
当時は「保護説得」と認識し、「牧師たちが無償のボランティアで活動していると思い込んでいた」。ところが、知り合いになった家庭連合信者から、12年5カ月もの長期間にわたって監禁されていた信者がいたことや、牧師らがそれで多額の謝礼を受け取っていたことも知った。
「自分でもいろいろと調べてみて、家庭連合に関する悪評のほとんどがでっち上げだと確信することができた」
いわゆる脱会屋が暗躍することで、「すでにエホバの証人の信者たちに対する宗教ヘイトや暴力が増加したことが指摘されている」と述べ、宗教ヘイトや宗教差別が固定化されることに懸念を示す。
拉致監禁・強制棄教によって家庭連合の信者の多くが複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したり、うつ病に罹患(りかん)したり、自殺したりしていることも知るようになった。「極めて深刻で重大な問題だ。拉致監禁・強制棄教を教唆した牧師や弁護士を世間に野放しにしておいてはならない」と訴える。
岩本氏にとっては、自民党による家庭連合との関係断絶、解散命令請求のいずれも「宗教迫害」だ。「政教分離の原則は本来、特定の宗教団体が政府から特権を得ることを禁止しているのであって、宗教団体が政治家に働き掛けることを禁止しているのではない」。こう指摘した上で、解散命令請求については、「政府が踏み込んではいけない信仰の領域に踏み込んでいる」ことを問題視する。
岩本氏が日本基督教団からの脱会を決意したのは、同教団が左翼の温床であると気付いたのがきっかけだ。「2015年に平和安全法制が国会で審議されていた当時、SEALDs(シールズ)というクリスチャンの学生グループがマスコミでも取り上げられた。この時、社会派だけでなく教会派の牧師たちも学生運動を称賛するようになっているのを目の当たりにした。平和安全法制に反対する人たちが、意図的に虚偽の情報を流しながら、安倍政権を非難していることに気付いた」
こうした左翼系牧師らが家庭連合の解散命令を後押ししている事実から目を背けてはいけない、と岩本氏は動画配信や家庭連合の信者が主催する講演会などで訴えている。(信教の自由取材班)