Homeオピニオンインタビュー党組織改革行い信頼回復を 田村重信氏に聞く【インタビューfocus】

党組織改革行い信頼回復を 田村重信氏に聞く【インタビューfocus】

衆院本会議で第103代首相に指名され、一礼する石破茂首相(中央)=11日午後、国会内
自民党の石破茂総裁が第103代首相に任命された。自民党の政務調査役を長く務めた政治評論家の田村重信氏に第2次石破政権の課題について聞いた。

――首相指名選挙で石破茂氏が選ばれた。

首相が比較第1党から選ばれたのは当然なこと。むしろ、野党が連立できなかったことの方が問題だ。

11日に公表されたANN世論調査によると、「総理大臣指名は誰が適切か」の問いに石破氏が36・8%で、14・6%の立憲民主党・野田佳彦代表を大きく引き離した。望ましい政権枠組みは自公中心が約半数で、立憲民主党中心を15ポイントも上回った。野党が政権を取ることに否定的だ。世論は、自公が過半数割れした中でも石破総理を認めている。

――少数与党となった石破政権はどう難局を乗り越えられるか。

当面の課題は、国民民主党が言いだした「年収103万円の壁」の引き上げなどの処理などをどう解決するかであり、石破政権の政策調整や国民への説明の仕方が重要となる。政権を安定させるためには、国民にしっかり説明し理解されることが大事で、そのためにも、党内融和を図ることが大事だ。

予算委員会の委員長ポストを立憲民主党に譲ったが、この方がむしろ国民に見える形で政策論争ができるだろう。憲法審査会については、これまで立民がサボタージュして開かれなかったことを踏まえ、会長ポストを得ることによって開かざるを得なくなることは良いことだ。

さらに、時代に対応した自民党組織を構築するために、全国の党員・組織などから意見聴取を行い、党組織改革を行うことが必要となる。そうすれば自民党は国民の信頼を取り戻すことができる。国民に信頼される政治を取り戻すこと。石破氏は「信なくば立たず」を実践してほしい。

たむら・しげのぶ 昭和28年新潟県生まれ。拓殖大学政経学部卒。宏池会(大平正芳事務所)を経て、自民党本部に勤務。政務調査会で調査役・審議役として外交・国防・憲法・安全保障等を担当。退職後、政治評論家。

――石破氏はトランプ次期米大統領とどう向き合うのが望ましいか。

外務省などあらゆるチャネルを利用して、情報収集・分析に努め、トランプ大統領と自ら率直に対応したらよい。

石破氏は、外交・防衛の専門家でもあり、主要閣僚を防衛族議員で固めた。その点では問題ないが、今後、経済についても関税などしっかりした知見を持って率直に対話し対応すれば、日米両国の信頼関係が良好になると思う。

個人的な関係の構築について考えると、安倍晋三元首相はゴルフを通じて親交を深めた。石破総理はトランプ氏と同じクリスチャンでプロテスタントの信仰を持っているから、これだけで意気投合できるのではないか。

――来年の参院選まで予想される政局のシナリオは。

今後、いかに内閣および与党の支持率を回復できるかが鍵となる。そのためには、自民党の「政治とカネ」の問題にけじめをつけ、「103万円の壁」問題を解決するなど、具体的政策を打ち出して与野党で合意形成を図ることが必要。さらに、石破総理の得意とする国民との直接対話を通じて、政権の信頼回復に努める必要がある。それができずに世論の支持率が低いままだと参議院選前に交代論も出てくる可能性もある。

総裁就任直後の早期解散に象徴されるような石破氏のこれまでの言行不一致、特に解散の時期を巡る発言は衆院選の結果に大きく影響した。今後、自らの言動のブレに留意すべきだ。

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