200編で現代詩の現在を知る

日本の詩の流れは、俳句や短歌や漢詩から来るものと明治初期の西洋文学からの影響に日本の詩の流れは、俳句や短歌や漢詩から来るものと明治初期の西洋文学からの影響によって生まれた口語詩への試みから始まっている。
当時は、伝統的な韻文のリズムから離れることがなかなかできずに、漢文混じりの新体詩、翻訳調のものが多かった。
そうした呪縛から解き放たれて自由口語詩的な詩が表れたのは、島崎藤村などの詩からだったが、その背景にはキリスト教の讃美歌などの影響がうかがわれる。日本の詩には個人の信仰よりも自由な恋愛へのあこがれが底流にある。そこから個人の苦悩や感傷を詠む詩が生まれた。
萩原朔太郎や室生犀星、三好達治などの詩がよく読まれたのは、それが読むだけではなく、朗誦(ろうしょう)できるものだったからだ。
ところが、戦後詩からは朗誦するものではなく、言葉を音楽や絵画のように構築して観念的な詩として独自の発展をしていく。
そのような現代詩の現在を分かりやすく紹介したアンソロジーが発刊された。西原大輔編著の『一冊で読む日本の現代詩』(笠間書院)である。
原民喜、まど・みちお、安西均などから、関根弘、鮎川信夫、吉本隆明など200編の詩を収録していて、現代詩の現在を俯瞰(ふかん)できるものとなっている。
(羽田幸男)