千葉県我孫子市はこのほど、市職員が庁舎内で市議会議員から政党機関紙の購読を勧誘される際、心理的圧力を感じたか否か、契約をして購読しているかなどに関するアンケート調査を全管理職に行った。その結果、購読勧誘を受けた職員のうち、約73%が「圧力を感じ」、購読している9割近くが「契約行為を行っていない」などの異常な実態が浮き彫りになった。(「しんぶん赤旗」勧誘問題取材班)
庁舎内の実態調査
民間の「千葉県の行政環境を良くする会」(山田信治代表)は去る3月1日、星野順一郎市長宛に、政党機関紙の購読状況などを把握するための実態調査を行うことを求める要望書を送付した。全国の自治体で心理的な圧力を感じながら購読させられる職員が多数いる実態が職員アンケートを行うことにより次々と明らかになっているためだ。
地方自治体が実態調査をするのは、議会で調査を求める陳情が採択されて踏み切るケースがほとんどだが、我孫子市は市長の指示で調査が行われた。星野市長は4月18日、同会に対して「良好な職場環境を確保するため、職員に対するアンケートの実施を検討していく」と回答していた。
実際にアンケートが行われたのは5月7日から31日まで。管理職総数165人のうち、146人が回答。回答率は88・5%だった。調査結果によると、購読勧誘を受けたのが80人(約55%)に上り、「購読しなければならないというような圧力を感じた」のが58人(約73%)で、「購読している(した)全ての機関紙について、契約行為を行ったことはない」のが60人で全体の約88%を占めた。

また、「購読の継続に当たり、購読期間ごとや年度ごとに意思確認はありましたか」については回答数71人のうち59人が「一切なかった」(約83%)とした。このほか、購読勧誘を受けたのは「勤務中」に「執務室内」で、配達は「自席に」、料金支払いは「執務室内で」「勤務中に現金払い」などの問題行為が圧倒的多数だった。
これを問題視した市長は6月20日、日本共産党と公明党にアンケートの集計結果を渡し購読意思を十分確認してから契約をするよう申し入れた。市の担当者は「管理職にも契約を見直したいのであればできるよう伝えた。いつでも止められる風土をとりあえず作れた」と意義を強調した。
しかし、「良くする会」の山田代表は「勧誘に心理的圧力を感じている職員が7割を超えているのが現状だ。勧誘を一切禁止して、希望する職員が自宅などで自主的に購読するのが健全な状況ではないか。庁舎内では職員の政治的中立性に疑義が生じるし、市民が安心して役所を利用できる環境になっているのか」と語っている。