トップ国内【連載】2024衆院選 注目区を行く(6)自民 勝てる選挙区で苦戦 北海道5区

【連載】2024衆院選 注目区を行く(6)自民 勝てる選挙区で苦戦 北海道5区

気 勢 を 上 げ る 有 権 者 ら 15 日 、 札 幌 市 厚 別 区 ( 湯 浅 肇 撮 影 、 一 部 画 像 処 理 し て い ま す )

「非常に厳しい選挙です。逆風どころか嵐の中に突入するような気持ちで臨んでいます」

こう語るのは、自民党公認の和田義明。北海道5区は元来、元官房長官・町村信孝の地盤であった。町村亡き後、娘婿であった和田が2016年の補欠選挙に担ぎ出され、町村の地盤を受け継ぐことに成功した。今回4回目の選挙だ。元商社マンだったこともありフットワークも軽い。その上、国際的な感覚を身に付けた好青年風のイメージが定着し、これまでは無難に選挙戦を繰り広げてきた。

5区は、これまでの石狩市が4区に編入され、江別市、千歳市、北広島市、恵庭市、石狩管内、札幌市厚別区のほか、今回は同市白石区の一部が加わった。この選挙区はこれまで自民が「勝ち」を計算できる数少ない選挙区だった。ところが、派閥の政治資金収支報告書への不記載問題で一転、和田陣営はぎりぎりの戦いを強いられることとなった。

旧安倍派に属していた和田は、派閥パーティーで過去5年間に得た990万円の不記載が発覚した。自民は今回、和田について8段階中7番目に重たい「戒告」処分を告げ、公認はするが比例名簿に登載させないことを決定した。「皆さまにご迷惑をかけたことを心からお詫(わ)びします。比例名簿に重複記載されないのは厳しいが、その分、決死の覚悟で選挙を戦います」と悲壮感を漂わす。

公示日の出陣式には、選挙区内の自民道議や市議が駆け付けたほか、北海道の経済界をまとめる道経済連合会会長の藤井裕(ゆたか)が応援弁士として立った。千歳市には最先端半導体企業・ラピダスの工場が建設中で、半年後には試作ラインが稼働する。藤井は、「北海道経済は第1次産業が基幹産業になっているが、脱炭素や半導体など新しい経済分野の確立が急がれている。そうした産業の育成を担っていくためにも、和田候補は北海道になくてはならない人」と期待を込めて持ち上げた。

一方、立憲民主党の池田真紀も今回が4回目の衆院選。これまでの対戦相手はいずれも和田であった。初当選を果たしたのは17年の第48回選挙で、その時は比例復活。次の21年の選挙では3万票近い差をつけられ、比例復活もできなかった。社会福祉士、介護福祉士でシングルマザーとして働いてきた経験を生かし、「弱者を置き去りにしない」をキャッチフレーズに政治・選挙活動を続けてきた。

公示日の第一声では立民幹事長の小川淳也が応援に駆け付け、「この日本の社会の停滞、行き詰まりを作ってきたのは他ならぬ世襲政治と金権政治ではないか。今回ばかりは(自民に)勝たせてはいけない」と力を込めた。それに応えるように池田は自民の裏金問題を追及。街頭演説でも「自民党の腐敗政治は安倍政権の時の『桜を見る会』の時から変わっていない。自民党は腐り切っているんです」と半ばヒステリーな口調で道行く人に訴え掛ける。

北海道の自民候補の中で、いわゆる裏金問題で党から処分を受けたのは和田ただ一人。それだけに相手候補を「腐敗候補」として印象付ける作戦とも考えられる。(敬称略)

 (衆院選取材班)

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