トップ国内【連載】2024衆院選 注目区を行く(4)野党結束陰り、保守再び分裂 沖縄1区 

【連載】2024衆院選 注目区を行く(4)野党結束陰り、保守再び分裂 沖縄1区 

候補者の演説に拍手を送る人々=18日、沖縄県那覇市(川瀬裕也撮影)

「『オール沖縄』1区の赤嶺政賢候補です!」

18日夕の沖縄県庁前の県民広場、高らかな紹介と共に決起集会で登壇した共産前職の赤嶺は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事反対の立場を改めて示し、「(玉城)デニー知事と一緒に東アジアの平和をつくる。そのためにもなんとしても国会に送ってほしい」と呼び掛けた。

沖縄1区は、共産党が唯一議席を保有する小選挙区であり、議席死守は同党にとっても至上命題だ。にもかかわらず、会場に掲げられた横断幕やのぼりに「共産」の2文字は多くは見当たらなかった。

自民県連関係者は「あえて共産カラーを抑えて、野党の結束をアピールしたい思惑があるのでは」と分析している。同会場に応援に駆け付けた共産党委員長の田村智子は「『オール沖縄』団結の力で議席を必ず守り抜かせてほしい」と訴えた。

これまで沖縄は「オール沖縄」を軸とした、野党共闘の理想的なモデル地区とされてきた。しかし近年、有力企業の撤退や、度重なる選挙での敗北によりオール沖縄の結束に陰りが見え始めている。

さらに、公示前には、これまで沖縄で「オール沖縄」の一端を担ってきた、れいわ新選組が独自の公認候補擁立を発表するなど、大荒れの展開となった。結局、わずか3日で立候補を取り下げるも、大きなしこりが残った。

各種世論調査によると、「オール沖縄」として一本化された赤嶺が一歩リードしている。これを追うのが自民前職の国場幸之助だ。選対関係者は、「あと一歩のところまできた。(赤嶺の)背中が見えている」と、感触を口にする。前回の衆院選で国場は、赤嶺に約6千票差で敗れ比例復活となっている。

赤嶺陣営の数時間前、同じ場所で総決起大会に臨んだ国場が数百人の聴衆を前に「総選挙の争点は経済だ。物価高を上回る賃上げを早期に実施する」と力強く訴えると聴衆からは拍手が起こった。那覇市長の知念覚も「この選挙は絶対に負けるわけにはいかない」とした上で、「経済界との連携。これこそが将来の沖縄をつくる本当のオール沖縄だ」と応援演説に熱がこもる。

注目されるのは、無所属元職・下地幹郎の票の動向だ。イメージカラーとして定着したオレンジの眼鏡と上着をトレードマークに、連日、自民派閥の政治資金問題などを追及し、反自民票の掘り起こしに余念がない。かつては、一部の経済界と首長経験者らが後押しをし、下地の自民復党が画策されたが、自民県連との対話は実現しなかった経緯がある。

自身の政治生命を懸けて臨むという今回の選挙では、「辺野古問題を片付ける」「政権交代を実現する」などと声高に訴え、自民票だけでなく革新票の切り崩しを図る。

沖縄1区は4回連続で赤嶺、国場、下地による三つ巴(どもえ)選挙となっている。2012年で国場が勝ったのを最後に、赤嶺が3連勝している。保守分裂が回避されない限り、共産が有利な状況は変わらない。(敬称略)

(衆院選取材班)

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