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高尾山のムササビ/東京都八王子市

日没後、飛膜を広げ滑空

「むささびや大きくなりし夜の山」(三橋敏雄)

高尾山は年間登山者数が260万人と、世界で最も訪れる人の多い山だそうだ。多様な動植物が生息し、よく保護されてもいる。

薬王院に向かう1号路の男坂は「文学碑の道」になっていて、歌人や俳人たちの句碑や歌碑が並んでいる。

ほかにも文学碑はあちこちにあって、角柱の三橋敏雄の句碑は薬王院の手前、大杉原の杉並木参道の南側にある。句は作者が終戦直後、復員して初めて参拝したときに作ったものだという。月明かりの空をムササビが飛翔(ひしょう)してよぎり、静寂の中にある高尾山が大きく感じられた。

高尾山にはキツネ、アナグマ、テン、アカネズミなど、中型から小型の哺乳動物が25種類以上生息しているそうだが、出合う機会はまれ。比較的姿を見る機会の多いのが、日没後のムササビだそうだ。

昼はスギやケヤキやブナの大木の穴で眠っていて、日が沈んでしばらくすると巣穴から出てきて、木から木へと飛膜を広げて滑空する。寒い夜でも観察に来る人たちがいる。

このムササビは頂上にある高尾ビジターセンターで展示されているもの。滑空している状態で、時間を止めて見せてくれているかのようだ。

(増子耕一)

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