トップ国内石破新内閣の課題(下)政財界に「石破ショック」走る 首相就任前の解散表明で猛反発

石破新内閣の課題(下)政財界に「石破ショック」走る 首相就任前の解散表明で猛反発

国会で首相に指名された後、あいさつ回りで日本維新 の会を訪れ、馬場伸幸代表(中央右)らに迎えられる 自民党の石破茂総裁(同左)=1日午後、国会内

「石破ショック」。自民党総裁選挙の決選投票で、石破茂首相が高市早苗前経済安全保障担当相を破ると、その日のうちからマスコミや経済界でこの言葉が飛び交った。

積極財政派の高市氏と異なり、石破氏は金融所得課税の強化など、財務省主導の緊縮財政・増税を容認する姿勢だった。この影響で、日経平均株価が急落し、円高が進んだ。石破氏は、安倍晋三元首相から引き継がれている経済成長戦略に後ろ向きなため、市場に負担増・増税の警戒感が増したのだ。

株価下落は一時的なものだったが、「石破ショック」はこれで終わらなかった。前代未聞といえる首相就任前の解散表明が政界に衝撃を与えた。

首相就任前日の9月30日、党本部で記者会見に臨んだ石破氏は、「かなり異例と承知している。理由は(全国の)選挙管理委員会の準備で、それ以外にはない」と述べ、10月27日に衆院選を行う意向を示した。

だが総裁選では逆のことを言っていた。「国民に判断をいただく材料を提供するのは政府の責任で、新しい総理の責任。本会議というのは基本、一方通行でなかなかやりとりがない。本当のやりとりは予算委員会と思っている」

次期総裁候補として最有力視された小泉進次郎元環境相を過剰に意識したのか、石破氏は、日本記者クラブ主催の討論会でこう述べた上で「『すぐ解散します』という言い方は、私はしません」と強調。他候補との違いを際立たせていた。

党関係者によると、10月27日に解散することは、党内では「既定路線」だったとされる。国会会期は9日までと決まったが、野党からは不満が噴出する。

立憲民主党の野田佳彦代表は、「ルールを守ると言って守らない。堂々と議論しない。裏金を議論せず解散するのは『臭い物に蓋(ふた)』」、日本維新の党の馬場伸幸代表は「敵前逃亡内閣」と手厳しい。

野田氏は、1日の参院会合で、衆院解散は「内閣の助言と承認に基づく天皇の国事行為」とした上で、総理大臣の指名と組閣前の解散は憲法7条に違反する疑いがあると攻撃を強めた。

衆院選に臨むに当たり、石破氏を悩ませているのは「裏金議員」の処遇だ。派閥パーティーを巡り政治資金収支報告書に不記載があった議員について、野党からは説明や処分が不十分でないと追及が強まる中、該当する議員を公認するか、比例代表との重複立候補を認めるかどうかについては、一人一人聞き取り調査を行うとした上で、選挙区でどのぐらい支持を得られているのか調査する意向を示す。

1日の記者会見では、必要であれば「公認権者である私自身が国民の皆さま方に納得していただけるような説明をする」と話した。一方で、15日の公示まで、各議員や地方の県連と調整する時間が取れるのかどうかについては、「時間的余裕についてはかなり厳しいという認識は持っている」と認めた。

政界通の石破評は「相手やその時々で話を変える癖があり、前言撤回や言行不一致は想定内」だという。ただ、こうした人物は国民から「納得と共感」を得られるのか。

総裁選で相まみえた高市氏、小林鷹之元経済安保相、茂木敏充前幹事長の陣営からの党役員・閣僚起用はなく、「挙党一致」とは程遠い布陣だ。

3日までに発表された報道各社の世論調査の石破内閣支持率は50%前後と政権発足直後にしては高くない。岩盤保守層を味方に付けることができなければ、野田氏が目標に定める「自公過半数割れ」に近づく。

(豊田 剛)

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