資料で偉人たちの足跡を紹介
金沢市の金沢ふるさと偉人館では、金沢を代表する福祉施設をテーマに、企画展「福祉は金沢(ここ)から始まった!―陽風園(ようふうえん)と善隣館(ぜんりんかん)―」が開かれ、近代日本の社会福祉事業に尽力した金沢の偉人たちの足跡を紹介している。
陽風園は日本初の個人による社会福祉施設をはじまりとし、善隣館は金沢特有の地域福祉の拠点としての歴史がある。金沢は「福祉のまち」と言われるほど、全国を代表する福祉施設が集まり、同展ではそのあゆみを紹介している。
展示しているのは、現在も金沢市で福祉施設として続く陽風園と善隣館にまつわる資料約60点で、陽風園は明治期に入り、それまで加賀藩が困窮者を支援していた「御救小屋(おすくいごや)」が閉鎖したことを受け「日本の社会福祉の祖」と称される小野太三郎が創設した小野救養所を起源とする。
一方、善隣館は現在の民生委員にあたる「方面委員」をしていた薬剤師の安藤謙治が、昭和初期に設立した。地域住民の生活を支援するため、授産や託児保育などにも取り組んだ。展示では、安藤以外にも善隣館の発展に尽くした人々が紹介されている。
同館学芸員の山岸遼太郎さんは「行政の手が届かない人たちを助けるために施設ができたことを知り、今後の社会について考えるきっかけになれば」と話している。11月24日まで。
(日下一彦)