ゲリラ戦のノウハウ共有 国内では初、日仏共同訓練

岩手山演習場で行われた総合戦闘射撃訓練で待機する仏陸軍兵士と陸自隊員(赤と白のヘルメット) (9月19日撮影)
陸上自衛隊とフランス陸軍は8日から20日まで共同訓練を行った。相互理解と信頼関係の強化を図り軍事ノウハウを共有する目的。国内初となる共同訓練では、自衛隊員約100人、仏軍約50人が実弾射撃を含めた訓練を行った。(森 啓造)

隆盛にちなむ訓練名

「パパーン、パパパパッーン」――。小銃の乾いた連射音が敵ゲリラが潜伏した建物の中から響いた。部隊が建物内の敵部隊を制圧し終えると、次の建物への突入に備え窓や屋上から援護射撃の体制を整えた。仏陸軍4、5人1組の部隊に連絡係の陸自隊員が同行。隊員は、タイミングを見計らって人質がいる建物の中にドアを蹴り破って突入。銃の音を鳴り響かせながら2階、3階と制圧し、15分ほどすると人質が陸自隊員に守られながら建物から脱出した。

宮城県・王城寺原演習場で行われた「ブリュネ・タカモリ24」の市街地戦闘訓練の一こまだ。訓練名は、幕末に江戸幕府の陸軍「伝習隊」を指導し、後の戊辰戦争で旧幕府軍に加勢したフランス陸軍参謀総長ジュール・ブリュネと日本の初代陸軍大将・西郷隆盛から命名された。

記者会見で、陸自第9師団の藤岡史生師団長(56)は「本訓練が両国の信頼関係の強化、自由で開かれたインド太平洋地域の平和と安定に寄与できるものと確信している」と共同訓練の意義について語った。

憲法上の制約に理解

仏陸軍第6軽機甲旅団のヴァランタン・セイラー旅団長(52)は、日仏がどこで共に戦う想定をしているのかについて、記者からの質問に、具体的な地名は挙げなかったものの、「仏軍はインド太平洋地域における信頼のおけるパートナー国との協力を強化し、将来的な有事の際には連合を組んで、パートナー国と共に作戦を行う体制を整えている」と強い決意を感じる口調で話した。自衛隊の憲法上の制約には理解を示した。

別の日には、ゲリラ部隊の拠点を捜索・撃滅する総合射撃訓練が、岩手山演習場(岩手県)で行われた。

約2週間の訓練を終えた第39普通科連隊第3小隊の三宅拓真2等陸尉は、「ゲリラ戦を経験しているフランス軍のノウハウをかなり得たので、これを連隊に持ち帰り、訓練で反映させ、さらに精強になっていくように努めていきたい」と意気込んだ。

今回の共同訓練で、中国を念頭に置いた日仏の軍事・防衛力を強化することが抑止力になるという認識で一致した。

陸自と仏陸軍は来年、ニューカレドニアで再び共同訓練を行う予定。

spot_img
Google Translate »