世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の関連団体で、国連NGOの天宙平和連合(UPF)法務担当の近藤徳茂氏は25日、スイスのジュネーブで開かれた国連人権理事会で、家庭連合の信徒に対して監禁などによる強制改宗が行われてきたにもかかわらず、日本政府は「黙認してきた」と主張、「差別と迫害を終わらせる」よう訴えた。
近藤氏は、家庭連合信徒の後藤徹氏が拉致・監禁され棄教を迫られた事件などについて触れ、裁判所は2013年に「ディプログラミング(信仰を放棄させるための身体的、心理的暴力)を違法と判示した」として、その違法性を指摘。その上で、「国連人権機関や専門家による日本への国際勧告が繰り返された」にもかかわらず、脱会して「背教者」となった元信者や代理人の弁護士らが起こした裁判所の「法廷闘争を利用して、日本から統一教会を排除してきた」と政府の対応を非難した。
家庭連合を巡って日本政府は、昨年10月に東京地裁に解散命令を請求、審理が進められている。近藤氏は「(家庭連合が)教会の解散、自由権規約違反、全資産の没収、国家主導の新たな形の『信仰破壊』の導入などの脅威」にさらされていると主張、「あらゆる差別と迫害を終わらせる」よう訴えた。
またフランスの人権弁護士パトリシア・デュバル氏は同日、報告書「日本 統一教会を根絶するための魔女狩り」を国連機関に提出、解散命令請求に至った日本政府などの対応を非難した。
それによると、政府および「反統一教会の弁護士連絡会(全国霊感商法対策弁護士連絡会)」は、「信仰を広め、教会の組織を維持するために献金を募る行為」を、「公共の福祉」を害し「反社会的」と決め付け、家庭連合の解散手続きを開始したと指摘した。
また、政府の「不当な影響力の理論」により、信者らの「法的能力」が剥奪され、信者と2世信者に「悲劇的な状況を生み出している」と懸念を表明している。
デュバル氏は、このような政府の対応について「全体主義国家のようだ」と指摘、「日本当局による差別的、抑圧的な措置という憂慮すべき傾向」を止めるための措置が取られなければ、信者は「強制されて信仰を放棄」せざるを得なくなるとの見方を示した。
家庭連合によると、キリスト教会の牧師、弁護士らによって、数十年にわたって信徒らへの強制改宗が行われ、4300人以上が被害に遭った。また、一昨年の安倍晋三元首相暗殺後、家庭連合へのメディアなどで批判的報道が相次ぎ、信徒らに対する差別、迫害が続いている。