「日常の隣にある非日常の美しさ」をテーマに、福島市在住の写真家・江口敬氏の写真展「二つの部屋」が、福島市写真美術館で開催、16日にはギャラリートークが行われた。
大判プリントを中心とし、現代美術の表現手法の一つであるインスタレーション(空間全体を作品として表現するアート)を用いて、展示室の床に作品を展示。
大正期の建物である同美術館の情緒ある床や窓から差し込む自然光を用いてユニークな鑑賞空間を創り出している。
作風は抽象的な一風変わったもので、作品群にはタイトルやキャプションはついていない。江口さんは、「タイトルをつけるとそれしか見えなくなる。自由に想像できる可能性が奪われてしまう」と語る。
本展のタイトル「二つの部屋」とは、展示会場の室数を示すと同時に、自然と人工、具象と抽象、有と無のような、この世界のさまざまな対比の意味が込められている。
「風景や人物などさまざまな対象物を撮影したものが普通、写真と思われているが、自分の中のイメージを表現するという方法もある。写真というのは、こういう表現の仕方もあるのだということを知ってもらえたら」と江口さんは話している。会期は9月29日まで。入場無料。
(長野康彦)