政党機関紙のパワハラ購読勧誘
地方自治体の庁舎内で、議員が職員に日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」などの政党機関紙を購読勧誘する際、心理的圧力を感じさせる、いわゆるパワハラ勧誘をしている実態が次々と表面化する中、職員をハラスメントから守るために実態調査を行う地方自治体が近年増えてきた。地方議会の第2定例会(6、7月開催)では実態調査などを求める陳情が各地で出され、県庁所在地である千葉、山形両市を含む六つの市町で採択されたことが、このほど本紙の行った集計調査で分かった。(「しんぶん赤旗」問題取材班)
令和2年に課長補佐級以上の管理職を対象にした政党機関紙の購読実態調査を行い、約7割が「心理的圧力を感じた」結果の出た千葉市では、6月12日の総務委員会(定数10)で、前回調査後の実態調査と勧誘自粛を求める陳情を賛成多数で採択した。共産市議は反対した。公明党が積極的に賛成意見を述べた。
一方、船橋市で公明党は、実態調査を求める陳情に反対、不採択となった。「公明党機関紙『公明新聞』の購読拡大にマイナスの影響の出る自治体は難しい対応になる」(公明党関係者)ものとみられる。
また、山形市は3月議会(第1定例会)の総務委員会(定数8)に同様の陳情が提出されながら継続審議にしていたが、6月19日、「県内の他の自治体にも調査要望書が出され、各自治体はその要望にきちんと対応している。山形市でも調査をすべきだ」(委員)といった声が相次ぎ、自民、公明4人賛成、革新系3人反対で採択された。
埼玉県和光市では同14日、総務環境委員会(定数9)が開かれ「議員と職員は上下関係にはないが、職員がそう思っているのであればパワハラになる」「和光市の実状はどうなのか心配だ」「調査をし、実態を把握してしかるべき対応をすべき」といった声が続出し、辞職した共産議員と委員長を除く全員が賛成。27日の本会議で15対1(共産議員)で採択された。
このほか、青森県外ヶ浜町(6月11日)、埼玉県美里町(14日)、鹿児島県日置市(7月1日)が、実態調査を求める陳情をそれぞれ採択した。
政党機関紙の勧誘実態調査を求める動きは、10年前の2014年、福岡県行橋市の小坪慎也市議(無所属)が市役所内で「しんぶん赤旗」の勧誘・配布・集金が行われていることを問題視し、全国47都道府県と1700余りの市町村議会に陳情を発送したことが発端。その後も神奈川県藤沢、茅ケ崎、東京都狛江の各市などで陳情が採択。2020年のパワハラ防止法施行に伴い「職員を議員のパワハラから守ろう」との声が全国に広がり、陳情の提出数が増え、これまで61議会が採択した。