【連載】脅かされる信教の自由⑦ 第2部 地方議会への波紋 「反社」扱いの決議採択

北九州市本庁舎(左)と同市議会
北九州市本庁舎(左)と同市議会

岸田文雄首相が安倍晋三元首相暗殺事件後の2022年8月に行った世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)および関連団体との関係断絶宣言は、地方議会にも影響した。

自民党が22年9月8日に公表した所属国会議員の調査で出てきた179人の「教団、関連団体との関係」は、会合への出席、あいさつ、祝電などありきたりだったが、首相は自民党に「一切関係を持たないことを徹底する」ため、ガバナンスコード(統治指針)の改定を指示した。

このような岸田政権の動きが影響し地方議会で関係断絶決議の採択が始まった。9月28日、大阪府富田林(とんだばやし)市議会、富山市議会が採択。11月18日、大阪市議会は「旧統一教会等の反社会的団体の活動とは一線を画する決議」を採択。12月15日、北九州市議会は「反社会的な旧統一教会に関与しないことを確認する決議」を採択。同20日、大阪府議会が関係断絶を決議した。

首相の「社会的に問題が指摘される団体との関係は慎む」との表現が、これらの決議では「反社会的団体」との文言にすり替わり、教団や関連団体を暴力団のような反社会的勢力のように決め付けている。信者や関連団体会員をあたかもビジネス契約上の排除条項(反社条項)の対象のようにして、社会的に不利な立場にする恐れがある。「悪質商法」をしていなくても、信者や会員である市民の請願は議員が受け付けなくなる。

実際、請願が受け付けられなくなり、決議取り消しを求めて関連団体の天宙平和連合(UPF)の会員複数が、富山市、大阪府、大阪市、富田林市を提訴した。また家庭連合は北九州市を提訴した。

このうち今年2月28日、大阪地裁は判決で大阪府、富田林市、大阪市に対する決議取り消しの訴えを却下した。ただ判決では、「(決議は)市議会がその意思を事実上表明するものにすぎず、法的効果を伴うものではない」と述べ、請願についても「原告の請願権を侵害するものであるとは認められ」ないとした。つまり法的に「反社」ではない。

だが、判決は決議について「政治的な意味を有する事実上の効果を伴うものであるといえる」とも述べている。これでは「反社会的」との決議文言に「政治的な意味を有する事実上の効果」を容認し、原告の信教の自由や請願権を毀損(きそん)し続けかねない。原告のUPF会員はあくまで決議取り消しを求め控訴した。

22年10月25日、自民党は「党所属の国会議員は、活動の社会的相当性が懸念される組織・団体からの不当な政治的影響力を受けること、または、その活動を助長すると誤解されるような行動について厳にこれを慎むものとする」との改訂ガバナンスコードを決定し、家庭連合および関連団体との関係遮断について地方組織にも通知した。

家庭連合の信仰を持つ自民党所属地方議員は党公認を得るか否かの判断を迫られた。関東地方のある市議の場合、離党し無所属になった。「これまで党の選挙で市議は子分として扱われるのがきつかった」こともあり、首相の断絶宣言が背中を押した。昨年4月の市議選で再選を果たしている。政策でなく宗教を理由に離党者が出たのである。

一方、地方議会で関係断絶決議案を否決したケースもある。22年10月5日、京都府議会、10月14日、高知県議会が否決。9月、茨城県取手市議会では「市民として納税の義務を果たし何ら法を犯していない人々の基本的人権を侵している」(細谷典男市議)などの反対意見が出され、否決された。

岸田政権が進めた「関係断絶」、教団への解散命令請求に問題はないのか。第2部では疑問を持つ地方議員らの声を聞く。

(信教の自由取材班)

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