東京都知事選、過去最多56人立候補で大混乱 表現の自由の解釈で議論

東京都知事選(7月7日投開票)が20日告示された。地域政党「都民ファーストの会」に加え自民、公明両党などが自主支援する現職の小池百合子氏(71)、立憲民主党と共産党が強力に支援する蓮舫前参院議員(56)、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)、元航空自衛隊幕僚長の田母神俊雄氏(75)ら過去最多56人が立候補した。立候補者の数もさることながら、選挙ポスターを巡るトラブルも、都民の政治やマスコミの不信を象徴するものとなっている。(豊田 剛)
東京都知事選のポスター掲 示板。後方は都庁=21日午 後、東京都新宿区(加藤玲 和撮影)

告示日午前、中野駅前の選挙演説会場はピリピリとした雰囲気に包まれた。4月28日投開票された衆院東京15区補選で選挙妨害が繰り返され、政治団体の代表らが逮捕されたのは記憶に新しい。蓮舫氏選対の一人は「補選の時のような妨害が入らないか警戒をしていた」が、杞憂(きゆう)に終わった。

3選を目指す小池百合子氏は選挙戦初日と2日目、街頭に立って演説をすることはなかった。予想よりも静かな選挙戦序盤だが、選挙ポスター掲示板を巡っては混迷を極めている。掲示板は候補者48人分しかないが、それを超える56人が立候補。枠に入らない8人は、ポスターをクリアファイルに入れて掲示板の端に貼り付けるしかない。

戦後の都知事選を見ると、石原慎太郎氏が再選した2003年が5人で最少だったが、その後は増加傾向にあり、前回20年は22人で過去最多だった。

東京都知事選のポスター掲示板。=21日午後、東京都新宿区

今回、「NHKから国民を守る党(NHK党)」は公認、推薦含め24人を擁立した。24人分のポスター枠が、「ポスター掲示板ジャック」と称して、政党に寄付すれば誰でもポスター貼りの権利を得られるようになっている。当選を度外視し、自らの主張をポスターを通して世に問うという手法だ。

表現の自由の範囲内で、現状では合法。ただ、行き過ぎたケースもある。「表現の自由への規制はやめろ」との文言と共に卑猥(ひわい)な写真を掲載したポスターだ。警視庁は都の迷惑防止条例に違反する可能性があるとして警告。候補者はポスターを剥がす結果になった。

19日に日本記者クラブが主催した共同記者会見に招かれたのは前出の主要4候補だけだった。それ以外の候補がテレビや新聞に登場することはほとんどない。結果として、「候補者は過激な行動を通じてしかアピールできなくなったのだとすると、マスコミ側にも責任の一端がある」と、ある候補者の関係者は話した。

知事選には、「日本国民」で「満30歳以上」であることと、候補者1人当たり300万円の供託金を支払うという要件を満たしていれば誰でも立候補できる。

浜田聡参院議員(NHK党)は20日、自身のYouTube動画配信で「ポスター掲示板は必要ない、供託金(300万円)は安過ぎるという問題提起ができるのではないか」と話した。

保革対立終わり「ガラガラポン」
評論家 篠原章氏

小池百合子氏は2期8年の間、良い都政運営だったとは言えない。ずいぶんごまかしながらやっていると思う。だからと言って共産党などによる国政対決的な「革新統一戦線」はもっての外。革新自治体の象徴だった美濃部亮吉知事は、反戦平和、反差別をスローガンにし、福祉行政を推し進めたことを除けば事実上何もしなかった。次の選挙で鈴木俊一知事が誕生したことでほとんどの都民は安心した。

評論家 篠原章氏

また、16日の沖縄県議選で明らかになったことだが、革新系「オール沖縄」の時代は終わった。戦後続いている「保守か革新か」の二項対立、「右でも左でもない」というのも時代遅れ。何が出てくるか分からないガラガラポンの時代が本格的に到来した。政党や労組などの組織に頼っている候補は、既得権益が付いて回り、有権者はそれに嫌気が差している。

そういう意味でも、従来の政党・団体の枠組みにとらわれない候補を都民で育てようという機運が高まるのは自然の流れだ。候補者本人も育ちたいという気持ちを持ち、周りもちゃんと育てようという気持ちになる人が多くなるのではないか。

ネット時代の選挙で大事なことは、ビジョンをはっきり示せること。従来型の価値観、従来のジャーナリズム、古い政治を嫌い、新しいメディアツールを使って発信することに魅力を感じる人は増えている。(談)

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