自民の政策活動費運用に違法性 規正法改正案は「付け焼き刃」-岸田政権検証シンポ

公開シンポジウムで語る弁護士の若狭勝氏(左)、政治 評論家の田村重信氏(中央)ら=18日、東京都港区
岸田文雄首相が2021年10月に就任してから6月末に1000日になるのを前に、シンポジウム「岸田政権1000日を検証する」(主催・一般社団法人グローバルチャレンジ)が18日、東京都港区で開かれた。主に政権の意思決定プロセスに焦点を当て、自民党派閥による政治資金収支報告書不記載問題に端を発した政治資金規正法改正案、派閥解消・議員処分などについて専門家が意見を交わした。(豊田 剛)

今国会での成立を目指し参院で大詰めを迎えている自民党の規正法改正案について、元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝元衆院議員は、政策活動費の使途をどこまでどのように公開するのか透明性を確保できないと訴えた。

党本部の収支報告書に記載・公表されている自民党所属議員に渡される政策活動費は、まず幹事長に渡され、その金額は5年間で50億円に上ることを報告した同氏は、「今度は幹事長が幹事長の判断で自分が受け取った政策活動費を所属議員に寄付する。しかし、その時期、金額、相手は公表されないブラックボックスになっている」と指摘。「自民党の政策活動費の運用に違法性を残したままの今回の改正案は、いいかげんそのもので付け焼刃だ」と述べ、今回の規正法改正案の成立後に刑事告発が起きたら「笑い話だ」と批判した。

若狭氏は、「所属議員に寄付できるのは政党だけだが、幹事長から所属議員に寄付するのは、幹事長という個人、所属議員という個人の寄付であり、個人献金禁止規定に違反する」と疑義を呈した。これに対し、自民党側が「幹事長に渡ったお金の移動は党内部でのやりとりであり個人献金禁止に当たらない」と主張した場合、「もしそうであれば、幹事長へのお金の流れは実態に合わない必要のない記載で、収支報告書の虚偽記載に当たる」と矛盾点を指摘した。

政治評論家の田村重信氏は、岸田氏が主導して進めた派閥解消に一定の理解を示しつつ、人事やお金、選挙とは関係のない政策グループはできてくるのは自然なことで、「そのグループの中からリーダーシップを発揮できる人を総理総裁に推挙すればいいのではないか」と述べた。

このほか、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の宗教法人解散命令請求、LGBT理解増進法制定の各プロセスについても討議された。

解散命令請求手続きについて、若狭氏は「解散命令請求で一番の問題は公正性の欠如。解散命令請求をするのであれば、法律の解釈を適正に行って、手続きの公正性が担保されなければならない」との認識を表明。一晩で岸田首相が過去の民法上の不法行為を解散要件に含める国会答弁変更をしたことについて、「個人として無理があると考える。民法が入るのであれば、一般論としての議論を重ね手続きを尽くしていなければならない」と述べた。

LGBT問題について、麗澤大学の高橋史朗特別教授は、内閣府機関誌が「ジェンダー革命」を掲げたことを例に挙げ、「政府が過激な性教育にお墨付きを与えていることは問題だ」と訴えた。

岸田政権の裏金問題、LGBT理解増進法、家庭連合批判などを巡る政策決定のプロセスは、派閥解消、伝統的家庭の価値観の軽視、宗教法人解散命令請求を伴った。これについて中山達樹弁護士は、「国家と個人の間にある政党、宗教、家族など中間団体の重要性を再認識しなければならないのではないか」と強調。自民党が保守政治から左傾化し全体主義的になることに懸念を示した。

spot_img
Google Translate »