栃木県宇都宮市議会の懲罰特別委員会(小林紀夫委員長)は30日、日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」を市庁舎内で購読勧誘する実態調査を求めた陳情を審議した際、議会のルールを無視して反対討論を行った福田久美子市議を「陳謝」処分にすることを賛成多数で可決した。陳謝の内容は今後さらに各会派で検討し次の委員会で決定するが、この日の委員会では陳情者への人権侵害、ハラスメントなどの批判のみが出され、さらに重い「議会への出席停止処分」を求める声も複数の会派から出されたことなどから、陳謝文の文言は「かなり厳しいものになる」(委員)ものとみられる。
懲罰の内容は、地方自治法第135条によると、「公開の議場における戒告」「公開の議場における陳謝」「一定期間の出席停止」「除名」の4段階ある。福田市議が問われたのは、陳情審議の開会前に申し合わせた個人名や団体名は出さないことなどを全く無視して破ったこと。しかも、陳情者の信仰を一方的に公表し、討議資料を確認もせずに世界日報ホームページからの引用と断定しつつ、同紙に関わる誤った創刊の経緯に言及し、「旧統一教会という反社会的団体の思惑に加担しかねない」などと陳情趣旨と全く関係ないことに「延々と時間を割いた」(市民連合)点だ。
共産委員は委員会で「反社会的団体というのは国会でも使われているので公知の事実だ」と主張したが、他の複数の委員から「そう言わないという声もあるので気を付けねばならない」「慎重に発言すべきだ」と反論。「ハラスメントは行われた方がどう思うかだ。今回の発言を妥当な発言と思っているだろうが陳情者は被害を受けたと思っている。反省してほしい」などの意見が共産委員1人を除く10人全員の委員から出された。この結果、賛成10反対1の賛成多数で福田市議は「陳謝」処分となった。
ただ、共産委員からは反省の発言はなかった。このため、小林委員長は「市議会の自浄能力が問われている」として同委に4月3日付で「政党機関紙の庁舎内勧誘行為の自粛を求める栃木県民の会」(兼子孫芳代表)から出された申入書に配慮しつつ陳謝文をまとめる見通しだ。(「しんぶん赤旗」問題取材班)