
栃木県宇都宮市議会3月定例会で、政党機関紙の「庁舎内勧誘行為の実態調査を求める陳情」が採択された際の反対討論で、日本共産党所属の福田久美子議員が陳情の趣旨と無関係の発言をしたなどとして設置された懲罰特別委員会がこれまで4回開催されたが、福田市議は弁明を繰り返し抵抗を続けている。
このため、30日に開催予定の第5回懲罰特別委で、地方自治法第132条(品位の保持)、宇都宮市議会規則第91条(品位の尊重)、議会運営に関する確認・留意事項を踏まえ、処分が決定される可能性が出てきた。
3年半ぶりに4会派(自民、公明、市民連合、維新)により設置された懲罰特別委で問題になっている福田市議の本会議での発言は、主に五つ。
①陳情に添付された討議資料は、世界日報のホームページからの引用②世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は、解散命令請求がされている反社会的団体③陳情採択はハラスメント防止を装い、思想・信条の自由を抑圧しようとする策動であることを直視せず、反社会的団体の思惑に加担することになりかねない④国会議員や地方議員は旧統一教会と関係を断つことが社会的に問われている⑤この陳情の本質が憲法への攻撃であることをしっかり見極めるべき――といったもの。
これに対して、委員から、「ホームページからの引用と言い切っているが、陳情者本人に確認していないのであれば推定である」ことや、「個人名・団体名を出している。個人や団体の権利、利害を害するおそれがある発言だ」、「採択した議員が憲法を攻撃したということになり、当該議員の判断を侮辱している」、「文脈からして明らかに陳情者を攻撃する意図があったことは明白であり、前代未聞の事態である」などの意見や指摘が続出。
①陳情趣旨と無関係②個人、団体名を公にすることにより個人、団体の権利、利益を害するおそれがある③品位の保持、品位の尊重――の三つが懲罰動議の該当部分とみて処分(戒告、陳謝、一定期間の出席停止、除名)を検討中。懲罰特別委は、3月26日、4月22日、5月8、21日に開催されてきたが市議本人の反省が見られず、6月7日から始まる定例会前の決着を目指している。
日本共産党問題専門家は「宮本顕治共産党委員長時代の党綱領には国会を革命のための道具と記していた。地方議会も同様で、議会ルールを守らず軽視する姿勢はその遺伝子を市議が受け継いでいる表れだろう」と語っている。
(「しんぶん赤旗」問題取材班)